春になると森の木陰で、ちょっと奇妙で不気味な気持ちにさせる植物を見かけたりしませんか。
にょきにょきと立ち上がった茎先に、紫色のクルクルっとした不思議な花のようなものが咲いてたり、薄緑っぽいものもあったりと・・・
山道を散策していると「ムサシアブミ」や「マムシグサ」というテンナンショウ属の植物をよく見かけますよ。
秋になるとオレンジの実を実らせて、さらに目を引く存在になるのも面白いです。
「ムサシアブミ」と「マムシグサ」の違いや特徴を書いています。
目次
ムサシアブミのマムシグサ違いやそれぞれの特徴
(3月、林の中で見かけたのマムシグサ)
テンナンショウ属の植物は、日本を含む温帯の森林などに分布しています。
山野の林の下などに自生する多年草草。
サトイモ科の特徴である肉穂花序と 仏炎苞 を持った花をつけます。
花後は、粒状の果実をトウモロコシ状につけ、熟すと朱赤色になって目立ちます。
- マムシグサ
- ムサシアブミ
- ウラシマソウ
- ユキモチソウ
- ミミガタテンナンショウ 、他。
塊茎を乾燥したものを「天南星」として生薬でも利用されていますが、毒性がある植物なので注意も必要。
果実をつける初夏から秋にかけての誤食による事故が多いので注意が必要です。
口唇、口内のしびれ、腫れなどのほか、腎臓にシュウ酸カルシウムが沈着して腎機能を障害する。(30 分以内の短い潜伏期間の後に発症。)
毒性成分:シュウ酸カルシウム ( calcium oxalate ) 引用:厚生労働省
マムシグ(蝮草)とムサシアブミ(武蔵鐙)の違い
春に山で見かけた「マムシグ」と「ムサシアブミ」。
どちらも独特な花姿で、雰囲気がよく似ています。
どちらも仏炎苞(ブツエンホウ)がぐるっと丸まった形。
筒状の花のように見えるものは変形した葉が「仏炎苞」。
仏炎苞の中に長い花「肉穂花序(ニクスイカジョ)」があります。
【花姿】
- 「マムシグサ」はスラっとしてシンプルな見た目。
- 「ムサシアブミ」は、ずんぐりとした様子でぼってり丸まっています。
【色】
- 「マムシグサ」は、緑色のものをよく見かけますが、紫の花を咲かせるものもあります。中間的なものもあるようです。
- 「ムサシアブミ」は外側は緑ですが内側は濃い紫色。紫色が目立ちます。
花は似ていますが、葉を見ると簡単に区別が出来ます。
- 「マムシグサ」は、鳥足状の複葉の小葉。形は細長い楕円形。
- 「ムサシアブミ」は、成長しても複葉の小葉が3枚。幅の広い卵型。
艶やかな3枚の葉が目立ってる ⇒ 「ムサシアブミ」
また名前も見た目に由来しています。
- 「ムサシアブミ」は、馬に乗ったときに足をかける鐙(あぶみ)に似ていることに由来しています。
- 「マムシグサ」は、花の様子がマムシが鎌首をもたげている様に似ている、茎の模様がマムシの模様に似ていることに由来してるようです。
マムシグサ(蝮草)の特徴
北海道から九州にかけて分布。
明るい林の中や谷沿いのやや湿った場所でよく見られます。
長い茎の先にひとつの花を咲かせます。
仏炎苞は淡い緑色や淡い紫色で、縦に白い筋が入る。
黄緑色の方をカントウマムシグサ、アオマムシグサ、紫色の方をムラサキマムシグサと呼ばれています。(中間的な形態を示すものも多い)
花は雌花と雄花に分かれた雌雄異株です。
環境によって雄株から雌株へ、または雌株から雄株へと性転換する植物だそうですよ。
果実は赤く熟します。
科・属名:サトイモ科/テンナンショウ属
草丈:40cm~60cm
開花時期:3月~5月
花言葉:「壮大」「壮大な美」
アンスリウム、ミズバショウなども仏炎苞が目立ちます。
中央にあるのが本当の花。
ムラサキマムシグサの写真
ムサシアブミ(武蔵鐙)の特徴
本州の関東地方から沖縄にかけて分布。
海岸や谷沿いのやや湿った林下でよく見られます。
長い茎の先にひとつの花を咲かせます。
長さ8cmほど。
仏炎苞は緑白色~暗い紫色かで、白や紫の縦の筋がたくさん入る。
筒口部の耳が大きく、テンナンショウ属でも特異であるとされてます。
雌雄異株の多年草。
果実は赤く熟します。
科・属名:サトイモ科/テンナンショウ属
草丈:20cm~50cm
開花時期:3月~5月
ムサシアブミの花言葉は「偉大な勇者」「威厳」
色といい形といいちょっと芸術的。
艶やかな3枚の葉。
普通は長さ10~20cmですが、地域によっては40cmを超える大型のものもあるといわれます。
葉は大きくなり花が下の方に隠れてる。
花の中の様子はわかりにくい。
仏炎苞の色は、暗紫色を帯びるものから緑白色まで変異があるそうです。
ウラシマソウ(浦島草)も似ている植物
ウラシマソウ(浦島草)
本州や四国に多くみられます。北海道や九州の一部にも分布。
平地~低い山地の木陰、海岸近くの林床に見られます。
紫褐色の仏炎苞に包まれた肉穂花序に花をつけるので、「ムラサキマムシグサ」や「ムサシアブミ」とも似ています。
茎の模様と肉穂花序の違いで見分けることができます。
ウラシマソウは、花序の先に濃紫色~紫褐色のながいヒュンと伸びた付属体がつきます。
また、花茎や茎の根元のほうに細かな点状の模様があります。
ウラシマソウ(浦島草)は、浦島太郎が使っている釣竿に見立てて名前がつけられています。
雌雄異株の多年草で、「マムシグサ」や「ムサシアブミ」と同じく果実は赤く熟します。
科・属名:サトイモ科/テンナンショウ属
草丈:30cm~80cm
開花時期:3月~5月
花言葉は、「不在の友を想う」「注意を怠るな」「懐古」「回想」など