ツバキ(椿)とサザンカ(山茶花)は、花が少ない冬の時期に開花する、ツバキ科ツバキ属に属する植物です。
遠くから見ただけでは区別がつかないほど似ていますが、開花期に木の根元(散った花)を見ると簡単に識別できます。
ツバキは花全体をポトリと落下させますが、サザンカは花びらをバラバラに1枚ずつ落としてます。
目次
ツバキ(椿)とサザンカ(山茶花)の違い 見分け方
サザンカ(山茶花)はツバキ(椿)よりも一般的に開花時期が早く、10月頃から花を咲かせます。
サザンカの開花時期:10月~12月(晩秋の花)。
ツバキの開花時期:12~4月頃(冬の花)。
サザンカの花の多くは平開して咲くのに対して、ツバキの花は平たく開いて咲くことはあまりなく、カップ状になることが多い。
また、サザンカの花からは華やかな香りが漂い、ツバキの花は微香です。
サザンカの葉は、ツバキと比べると一回り小ぶりで、葉の付け根部分にあたる葉柄に細かい毛が生えてます。
ツバキ(椿)とサザンカ(山茶花) 木の根元に散った花の違い
多くのツバキはそっくり丸ごとポトリと落ちるのに対し、サザンカの花は花弁がバラバラになり、一枚一枚散っていきます。
ツバキもサザンカも離弁花類(花弁が1枚1枚離れている花のグループ)ですが、
ツバキは根元でくっついており、また、数十本ある黄色い雄しべの根元も花弁とくっついている為、合弁花(ごうべんか)のように落ちます。
サザンカの花弁は離弁。
花びらが一枚づつ散ります。
花びらを散らすツバキ(椿)?
「カンツバキ(寒椿)」は、ツバキとサザンカの交雑種とされます。
寒い時期に咲く椿という意味での呼び名がありますが、花が散るときは、サザンカと同じく、花弁がバラバラになって落ちます。
カンツバキ群の開花時期は12~2月頃。
カンツバキは、一般的あまり大きくならず、枝は横に広がる樹形で、横張り生垣などでよく見かけます。
ツバキ(椿)の特徴・散った花の様子
ツバキ(椿)は、日本、中国、東南アジアまで広く分布する常緑高木、または低木。
古くから親しまれてきた花木で、昔から盛んに園芸品種の作出が行われ、花色、花形、葉の形など多様な品種が栽培されています。
現在では日本国内だけでも2,000種以上のツバキの品種が存在してます。
学名:Camellia japonica
科・属名:ツバキ科・ツバキ属
原産地:日本、中国、東南アジア
別名:カメリア
花言葉:「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」
花の時期が終わる頃、萼(がく)と雌しべを枝に残して、ぽとりと落ちるツバキ。
花首から落ちるツバキの花は、咲いたままのよう。とてもきれいです。
花弁と雄しべがくっついて(合着して)います。
山に咲くヤブツバキ(藪椿)。
花にはメジロやヒヨドリなどの小鳥が、蜜を求め頻繁に訪れます。
筒状の花は、鳥が止まっても花弁が取れないほど強く花元で一体化してるようです。
ヤブツバキがつくる赤い絨毯は、冬の風物詩。
サザンカ(山茶花)の特徴・散った花の様子
サザンカ(山茶花)は日本の固有種。
比較的温暖な地域に自生する常緑性の小高木です。
野生種は白花ですが、江戸時代に園芸的に発展したと言われ、園芸種には白、桃、淡紅、紅色、覆輪などの花色があり、300ほどの園芸品種が知られています。
江戸時代に長崎の出島の オランダ商館に来ていた医師ツンベルクさんが ヨーロッパに持ち帰り、西欧でも広まったと言われています。
サザンカ(山茶花)
学名:Camellia sasanqua
科・属名:ツバキ科・ツバキ属
原産地:日本
花言葉:「ひたむきさ」「困難に打ち勝つ」
サザンカの花は、ツバキの花と異なり、花弁の基部と雄しべの基部は合着していないため、花弁がばらばらと散ります。
サザンカの木の根元は、花びらでいっぱい。
ボリュームがある八重咲きのサザンカは花弁が多いので、木の根元はピンク色に染まっていました。
サザンカの花びらは、薄くてヒラヒラしていて椿よりふんわりと優しい印象。
落ちた雄しべも所々にみられます。
公園で見かけたサザンカ。
散った花びらも鮮やかな色。
山で見かけたサザンカ。
サザンカは、吹き始めた木枯しの中で、花びらをはらはら散らすという初冬の花のイメージでしょうか。童謡「たきび」と一緒に思い出に残っている方も多いと思います。
さざんか さざんか さいたみち
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
しもやけ おててが もうかゆい引用:巽 聖歌『たきび』歌詞より