ハコネウツギ 紫陽花とよく似た葉っぱのウツギ

初夏のハコネウツギの様子
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ハコネウツギ(箱根空木)は、5月から6月の暖かくなる頃、最初は白で徐々に赤く染まる花をつけます。

ウツギの名がつく植物は多くありますが、ハコネウツギは、卯の花(うのはな)と呼ばれるウツギ属の植物ではなく、幅広い葉を持つタニウツギ属の仲間です。

わさわさ茂る大きな葉は、梅雨時の庭先に咲くアジサイ(紫陽花)の葉にも似ています。

ハコネウツギ(箱根空木)とアジサイ(紫陽花)を比較

ハコネウツギ(箱根空木):スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木。
アジサイ(紫陽花):ユキノシタ(アジサイ)科アジサイ属の落葉低木。

 

「ハコネウツギ」と「アジサイ」の葉の比較

葉の類似点(似かよっている部分)。

葉の付き方は、ひとつの茎の節に2枚ずつ向かい合ってつく「対生葉序」。
十字対生する単葉です。

葉の大きさは、7~15㎝位。
鮮やかな緑色で、表面には光沢があります。
葉の形は、楕円形から広卵形で先が尖ります。
葉の縁には細かい鋸歯があります。
(アジサイの葉の方が鋸歯が荒く、ギザギザしている印象です)。

どちらも落葉樹のため、冬には葉っぱが全て落ちます。

 

「ハコネウツギ」と「アジサイ」の花

同じ時期にみられたハコネウツギとアジサイの花。

  • ハコネウツギ(箱根空木)」
    花の開花時期は5~6月。
    葉の根元や枝の先に、3cm程の花を2~3個ずつつけます。
    花の形は、漏斗状で根元付近がふっくらとしています。
    その漏斗状の先が5つにわかれ、5枚の花びらがあるようにも見えます。

 

  • アジサイ(紫陽花)」
    花の開花時期は5~7月。
    枝の先にたくさんの小花が集まった半球形の花をつけます。
    花は両性花と装飾花の2種で構成されています。
    花色は多彩で紫~ピンク、白、青、赤などがあります。

※手まり咲きのものを「アジサイ」、まれに「ホンアジサイ」と呼び、最もポピュラーなアジサイではありますが、アジサイにはいろんな種類があり、花房の周囲に装飾花をつけるガクアジサイや小型種のヤマアジサイ、アナベルなどの外国種アジサイなどがあり、花の形、葉の形が異なります。

 

ハコネウツギ(箱根空木)の特徴や様子

海辺の公園に植えられていた初夏を彩るハコネウツギ。

ハコネウツギ(箱根空木)の特徴

ハコネウツギは、日本固有のタニウツギ科タニウツギ属の落葉性低木。
分布域は北海道南部から九州。
主に海岸近くの日当たりの良い場所に自生しています。

樹高は、2~5mくらい。
幹は根元から数本になることが多く太くはなりません。

開花時期は5~6月。

花の大きさは、長さ3~4cm、花径2cmほど。
花の形は、花冠の先端が5裂した漏斗状。
花色は、始めは花弁が白く、時間を追うごとに白からピンク、赤紫へと色彩を変化させていきます。

花後の実は、円柱状の緑色をしたオクラのような見た目をしたもので、上向きにつきます。
冬になると、茶色く枯れ葉の色となり、割れて種が出てきます。

名前の由来は、箱根の山地に多く分布しているニシキウツギ(二色空木)と間違われた誤認命名のようです。
ウツギ(空木)は幹が中空であることに由来しますが、ハコネウツギでは太い髄がつまっています。

 

学名 :Weigela coraeensis
科・属名 :スイカズラ科・タニウツギ属
原産国: 日本
別名:ゲンペイウツギ(源平空木)、サキワケウツギ (咲分空木)
樹高 :2~5m
開花期 :5~6月
花色: 白→ピンク→赤紫
花言葉:「移り気」

 

ハコネウツギ(箱根空木)の様子

白花と赤花を咲かせるハコネウツギ。

1本の木に白花と赤花をつけることから、別名でゲンペイウツギ(源氏が白旗、平家が赤旗から)とも呼ばれています。

花冠は漏斗形で、上部は5裂します。
花筒は上半部で急に太くなり、鐘状に広がります。

萼は5深裂。

雄しべ5個。
雌しべ1個。
雌しべの先は丸く膨らみます。

蕾の時や咲き始めは真っ白。

ハコネウツギは、時間と共に花色の変化を楽しめる植物。
優しい色合いのグラデーションが愛らしいです。

花は咲き進むと赤紫へ。

花後の果実はさく果。
長さ3cmほどの細長い円筒形。
11月頃に熟すと先端から2裂に裂開し、翼のある細かい種子を出します。

すっぽりと枯れ落ちた花の様子。

樹皮は灰褐色。
縦に裂けめがあります。

球形の虫こぶが見られました。

虫こぶはとは「虫えい」とも呼ばれ、虫が植物に寄生することでできる部分。
植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起ですが、一見実がなってるようにも見えました。

この虫こぶは、ウツギメタマバエが、冬芽に産卵して形成した虫こぶで、「ウツギメタマフシ」のようです。

葉の付き方は、対生。
葉の形は、楕円形~広卵形で先端は鋭くとがります。
基部は円形~広いくさび形。
表面は光沢があり、表にも裏にも、毛はほとんど見られません。

 

ハコネウツギ(箱根空木)に似ている植物

ハコネウツギには、白花で花色が変化しない「シロバナハコネウツギ(白花箱根空木)」、初めから紅花を付ける「ベニバナハコネウツギ(紅花箱根空木)」があります。

 

また、同じスイカズラ科である「ニシキウツギ(二色空木)」や「タニウツギ(谷空木)」は、「ハコネウツギ(箱根空木)」とよく似ている植物です。

ニシキウツギ(二色空木)は、山地に多く生息します。
葉はやや細長く、裏面の脈上に白い毛が密生します。
花は筒部の広がり方がなだらかで、ロート状です。

タニウツギ(谷空木)は、葉裏全体に白毛が密生します。
花の色は、蕾の頃からピンク(あるいは白)一色で、ハコネウツギのような変化はありません。
別名で、タウエバ(田植花)ナやサオトメウツギ(早乙女空木)とも呼ばれます。

 

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