冬から春にかけて咲く美しい椿の花。
健気にも大胆にも見える花姿に、うっとり虜になる人も多いのではないでしょうか。
日本を代表する花木で古くから日本でも親しまれている椿ですが、
ベトナム産の椿もとても綺麗です。
ベトナムツバキは、花の様子や葉の形も日本の椿とはまたひと味違っていますよ。
美しいベトナムの椿の花々
椿(ツバキ)は、ツバキ科ツバキ属(カメリア属)の常緑中高木の植物。
ベトナムや中国南部などの亜熱帯地域を発生起源とし、その分布の北限は日本だそうです。
ツバキ園芸品種の圧倒的多数は、日本産のヤブツバキの系統ですが、種の分布圏は中国中部以南の東南アジアの各地に及ぶ。
ハイドゥン(海棠椿)
『ハイドゥン(海棠椿)』
濃紅色・一重・中大輪
花期:11月~4月
分布ベトナム中部
花の色は濃い桃色で、縁はピンク色。
花弁が厚く内側にくぼみ、うつむき加減に咲いています。
ハイドゥンというのはベトナム語の Hi Duong の日本読み。
和名は、海棠椿(かいどうつばき)
ベトナムではテト(旧正月)を祝う花だそうです。
和名は海棠椿(カイドウツバキ)
葉は肉厚で大型の楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉のつけ根が耳形で茎を抱く。
ベトナムの王朝時代にその美しさから王家の花として扱われ、王家から決して外に出してならない「門外不出の花」とされた品種で、戦後の学術調査の折に発見された椿です。
中部や北部ベトナムでは冬の仏壇の挿し花としてよく用いられていたそうです。
艶っぽくてぽってりとした装いのとても上品な椿です。
葉の形も細長くて、日本の椿とは随分違いがあります。
ピクエチアーナ
『ピクエチアーナ』
紅色・一重・中輪
花期:12月~1月
ベトナム中部、ラムドン省
小ぶりで可愛らしい花を咲かせています。
下向きに咲いています。
ゴシツキンカチャ
『ゴシツキンカチャ』
濃黄色・一重・中輪
12月~1月
ベトナム北部・クァンニン省
中国側にも近似種が分布する。
珍しい「黄色の椿」
黄色い花の椿が存在することが報告されたのは、ベトナムからのものが最初だったそうです。
黄色いツバキは、中国からベトナムに分布しており何種類があるようです。
キンチャカ
『キンチャカ』
黄色・一重・中輪
花期:12月~1月
分布:中国
ベトナム産ではありませんが、キンチャカは、中国広西省から昭和57年頃日本に導入された日本の椿にない黄色の椿。
中国において、ツバキは主に「山茶(さんちゃ)」と書き表されているようです。
キンチャカは、色は黄色ですがお茶の花によく似ていると思いました。(お茶の花は白)
お茶もツバキ科ツバキ属。
日本の椿
日本には、椿の仲間は4 種 1 変種が自生しているそうです。
(植物学上のツバキ科ツバキ属)
- 青森県以南の全国各地に分布する「ヤブツバキ」
- その変種でで屋久島周辺に分布する「リンゴツバキ(ヤクシマツバキ)」
- 東北から北陸地方の日本海側の山岳地帯に分布する「ユキツバキ」
- 九州や四国から沖縄県にかけて分布する「サザンカ」
- 沖縄原産の「ヒメサザンカ」
ツバキは、今や欧米やオーストラリア、ニュージーランドなどにまで渡って庭園などで広く栽培されていますが、園芸品種の圧倒的多数は、日本産のヤブツバキの系統と言われています。
椿は、日本人に大切にされてきた植物
また、椿は古来から日本人に大切に扱われてきた植物のようです。
奈良時代の「日本書紀」にも記録が残されています。
(つばきの枝で作った椎(つち)で熊襲(くまそ)と闘ったと記されています)
また、「万葉集」においては、ツバキが使用された歌は9首ありますよ。
観賞が盛んになったのは、室町時代末だそうです。
江戸時代には江戸の将軍や肥後、加賀などの大名、京都の公家などが園芸を好んだことから、庶民の間でも大いに流行し、たくさんの品種が作られたそうです。
ベトナム産のツバキは、寒さに弱い品種もあるので、育てるときには注意が必要だそうです。
5℃以下になると枯れる可能性があるそうです。
葉が大きく艶っぽい、やっぱり暖かい地方の椿なんだね~といった感じで南国風な印象があります。
実際見てみると、とても美しくて感動的です。