蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の違いって何?特徴と見分け方

ハスのアップ写真
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夏になると水辺に咲く美しい花を咲かせる「蓮(ハス)」と「睡蓮(スイレン)」は、姿かたちがよく似ている植物です。

公園などで見かけると「どっちだっけ?」と思ってしまいませんか。

よく混同されがちな花ですが、
ハスはハス科ハス属、スイレンはスイレン科スイレン属で違う植物。

実は、かなりの違いがありますよ。

簡単な見分け方と、それぞれの特徴を書いています。

 

蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)、共通点と違い、見分け方

ハスの写真とスイレンの写真

左が「スイレン睡蓮(スイレン)」で、右が「蓮(ハス)」です。

ハスもスイレンも水辺から上に向かって、形が整った美しい花を咲かせます。

名前も『』というおなじ漢字がついています。

 

ハスとスイレンの共通点

  • ハスとスイレンは両方とも水辺に生息する水生植物で、水の底の土や泥に根を張り、水面(水上)に葉と花を展開します。
  • 開花時期は、初夏~夏。
  • 花は午前中に満開になり午後には閉じていきます。(違う種もあり)
  • ひとつの花は3~4日ほどしかもちませんが、その後も次々に開花します。

 

ハスとスイレンの違い、見分けるポイント

  • ハスは、ハス科ハス属の挺水植物(ていすいしょくぶつ)⇐水面から葉を立ち上がらせる植物。
  • スイレンは、スイレン属に含まれる浮葉性植物(ふようせいしょくぶつ)⇐水面に葉を浮かべる植物。

 

花や葉のようすの違い

花が、

水面に咲くのがスイレン。
水面より上の方で咲くのがハス。

葉も、

水面に浮かべてるのがスイレン。
水面より上へと立ち上がらせてるのがハス。

(上の写真みたいに、スイレンの花は、水面より高く上がる場合もあります。
熱帯種は水面より高い位置で花が咲くようです。)

 

花の形の違い
ハスの花弁は、幅広で丸みを帯びています。お椀のような形で花の中央には大きな花托があります。
スイレンの花弁は、細長くシャープな印象です。

 

葉の形の違い
睡蓮も蓮も葉は円形ですが、

葉に切れ込みがあるスイレンです。

スイレンのイラスト

葉に切れ込みがないのがハスです。

ハスの花と葉の写真

 

また、ハスの葉には珍しい特徴があります。

ハスの葉は、水辺にあるのにいつもツヤツヤしていてきれいです。
その理由に、水を大変よくはじく撥水性があるため、汚れがつきにくくなっています。

また、ハスの葉に朝露などが、きれいな水玉になっているのを見たことがありませんか。
キラキラしていてキレイですよね。

傘の替わりにもなりそうなハスの葉ですが、この撥水性は、ロータス効果というそうです。

ハスの葉の表面と同じような構造を表面に作るコーティング技術は、
塗料や繊維、自動車のサイドミラーなどにも応用されているそうですよ。

ハスの葉のイラスト

一方でスイレンは、水とよく馴染み、ペタリと水が広がってしまいます。

水生公園で見たスイレンの葉の写真とハスの葉の写真

 

ハスとスイレン、

花と葉の特徴を知ってれば、簡単に見分けがつきそうですね。

pino
大きい方がハス?

ハスは花も葉も水面より高く立ち上がります。
2メートル位、大きくなるのもあるそうですよ。

スイレンは涼しそうに花も葉も水面に浮いてる感じですよね。

よくみると、葉の形もちょっと違う・・・

どちらも夏の水辺を彩る美しい花ですよね。🌸

 

また、根にも違いがあります。

ハスの根=レンコン=穴が開いている。
スイレンの根=中身が詰まっていてワサビ状です。

 

蓮(ハス)の特徴

ピンクのハスが咲いてる様子の写真

学名:Nelumbo nucifera
和名:ハス(蓮)

科名 / 属名:ハス科 / ハス属

ハスの原産地はインドで、中国経由で先史時代に日本に渡来したといわれています。
景観植物として寺や神社、公園の池などに広く植栽されています。

6月下旬から8月下旬にかけての間に開花します。
ハスの花は短命で、花びらが開きはじめてから3~4日で散ってしまいます。

午前中に咲いた花は午後には閉じてしまいますので、
満開の花を観賞するには、午前中の早い時間に行くのがおすすめです。

 

ハスの根は、蓮根(レンコン)です。
レンコン、不思議なかたちをしていますが美味しいですよね。
ハスには塊茎が大きくなるように改良された「食用ハス」と、花を鑑賞する「花ハス」があります。

ハスの実も食べられます。トウモロコシのような食感だそうですよ。
漢方では、ハスの実が「連実(れんじつ)」と呼ばれ、滋養強壮や婦人病、下痢止めなどに効果があるといわれています。

ハスの名の由来は、
花の中心にある花床は、花後、大きくなってハチの巣に似るので、「ハチス」
平安後期頃から短縮され、「ハス」と呼ばれるようになったそうですよ。

花言葉は、
『清らかな心』『休養』『神聖』『雄弁』『沈着』『離れゆく愛』

睡蓮(スイレン)の特徴

スイレンが水辺に咲いてる様子の写真

学名:Nymphaea
和名:スイレン(睡蓮)
科名 / 属名:スイレン科 / スイレン属

スイレンは熱帯から温帯の広い範囲に分布する植物で、水位が比較的安定している淀んだ川や沼や池等に生息しています。
地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべています。

スイレンは大きく分けて耐寒性のスイレンと熱帯性スイレンの2品種に分けられています。
(気候の異なる地域に育つスイレンであることから性質が異なり、栽培方法も異なっています。)

睡蓮は種類や品種によって開花時期が異なりますが、
5~10月までの長い間花を楽しむことができます。見頃は6~9月です。

スイレンの花は、毎日開閉を繰り返しながら、4日間ほど咲き続けます。
ハス同様、午後には花が閉じていくので午前中に見に行った方がよさそうですね。

 

名前の由来は、
白い花を午後、未の刻ごろに咲かせる事からその名が付いたと言われています。

また、開いて閉じてを3回繰り返すことを人間のサイクルに例えて、
日中は開き(目覚め)、夜は閉じる(眠る)ことから「睡眠する蓮」⇒「睡蓮」となったとも言われていますよ。

花言葉は、
『清純な心』『信頼』『信仰』

 

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