初夏の海辺で、小さなイチジクのような実がびっしりついてる木を見かけました。
枝や幹から直接実がたくさん出ているので、ちょっと異様な雰囲気も・・・
一見、イヌビワの実とも似ていますが、実のなり方が随分と違います。
調べてみると、アコウの木の実、花のようです。
アコウの青い実は、花のうと呼ばれる器官で、花のうの中に3種類の小さな花があるそうです。 熟すと淡紅色の果実(果のう)となります。
目次
イチジクに似てる実(花)を茂らすアコウの木のようす
アコウは、暖地の沿海部に分布するクワ科の常緑高木。
5月頃、イチジクに似た形状の小型の隠頭花序を、幹や枝から直接出た短い柄に付ける(幹生花)。果実は熟すと食用になる。 引用:Wikipedia
アコウの木ってどんな木?
九州のでは時々見かけるアコウの木ですが、このように実が付いた枝を見るのは初めてでした。
アコウの木は、大きなものになると葉がたくさん茂りどっしりとしています。
地面に張り出した根が特徴的で、幹や枝から伸びる大きな気根があり南国情緒漂う樹形をしています。
他の木の上に着生し、気根で締め付けてその木を枯らすことがある為、「絞め殺しの木」と呼ばれたりもしています。
乾燥させた葉を焼くと良い香りがあり、「沈香木」との別名があります。
学名:Ficus superba var. japonica
科・属名:クワ科/イチジク属
別名:アコギ・アコノキ・アコミズキ・アカウ・タコノキ
原産地:日本(和歌山以西の太平洋岸、九州、琉球諸島)、台湾、マレー半島、インドシナ、タイ
アコウの花・実のようす
木を見上げると、枝には緑の実がたくさんついていました。
アコウの実は、はじめは花でのちに果実へ変わっていくようです。
(名前も花嚢から果嚢へと変わっていきます)。
この実はイチジクと同じように、花嚢の内側につくため、外見上、花が見あたらないまま果実が熟します。
太い幹にも、細い枝にも実がついてます。
あまりにもびっしりと付いてるので、驚きました。
一見、木の肌に直接果実が着いているように見えます。
このような花や果実のつき方を、幹生花(幹生果)と言います。
手にとって見ると、この位の大きさです。
実の直径は1センチちょっと。(もぎ取った先からは、白い液体が出ます)。
花嚢は、「へそ」の部分が入り口になった袋状の構造。
アコウの花粉を運ぶ体長1mm程度の昆虫、アコウコバチのメスだけが何とか侵入できるようになってるそうです。
内側には3種類の小さな花、雄花、雌花、虫えい花がたくさん。
アコウコバチは、この中に入ったら最後、二度と出ることは出来なく花のうの中で一生を終えるそうです。
アコウの葉のようす
葉は、先がやや尖った楕円形。やや大ぶりで約10 ~20cm。
表面には光沢があり肉厚です。
アコウの実にも似てる? イチジクのような実をもつ植物
「アコウ」の実は、イチジクを小さくしたような形です。
実の付き方が違いますが、「イヌビワ」の実とも似ています。
つる性の「オオイタビ」もイチジクに似た実をつけます。
「アコウ」の実よりもかなり大きいです。
どの実も、イチジク同様に花は花嚢の内側につくので、外見からは花が見あたらないまま果実が熟します。
イヌビワの実
小さなイチジクみたいな「イヌビワ」。
関東から九州、沖縄に分布するクワ科イチジク属の落葉低木。
海岸沿いでよく見かけます。
名前の由来は、ビワに似た実を付けるが、ビワほど美味しくはないという意味合いからだそうですが、味もイチジクに近い味がするそうです。
別名は、コイチジク。
オオイタビ
「オオイタビ」は、暖地の海岸付近に生えるクワ科イチジク属の常緑つる性木本。
幹から不定根をだして、木や岩の上をはうように伸びていきます。
石垣にびっしり茂ってる様子を見かけます。
実は、幅3~4cmの倒卵形で紫黒色に熟します。
名前の由来は、イタビカズラに似てそれより大型であることで付けられたようです
イチジク(無花果)
「イチジク(無花果)」は、クワ科イチジク属の落葉高木。
原産地はアラビア南部。
果実は、美味しく栄養価も高く不老長寿の果物とも呼ばれています。
生食のほか、ジャムにも適しています。
別名は、南蛮柿(なんばんがき)、唐柿(とうがき)。
漢字での「無花果」は、花は、実の内側にあることから見ることが出来ないことから。
「イチジク」という名前の由来は、中国での名前「映日果(エイジツカ)」がなまってイチジク。
毎日1つずつ熟すことから「一熟」→「いちじく」になったという説、ひと月で実が熟すため「一熟」→「いちじく」という説など諸説あるようです。