水辺には、プカプカと浮かんでる水草や、初夏を彩るハスやスイレン、湿地を好むハナショウブなどたくさんの植物が生育しています。
池や湿地帯、ビオトーブなどでもよく見かける水辺の植物は、生育環境や形態などによっても分類されています。
浮遊植物
『浮遊植物(ふゆうしょくぶつ)』は、水面に浮いてる浮草の仲間。
根を水底に下ろさず水面をただよっています。
多孔質の厚い業や浮き袋を持ち、植物体が水面に浮かんでいる植物で、必要な栄養塩類を水中から吸収するため、富栄養な水域で繁茂します。
浮遊植物の種類
- ホテイアオイ
ミズアオイ科
南米の熱帯、亜熱帯地域の湖沼や流れの緩やかな河川が原産とされてる多年草。
「ウォーターヒヤシンス」とも呼ばれ、夏から秋にかけて薄紫色の美しい花を咲かせます。
球~卵形の葉をロゼット状につけます。繁殖力がとても強い。
- サルビニア ククラータ
サンショウモ科
インド、東南アジア、西オーストラリアに分布してる多年草。
葉の表面には毛があり、大きさ2cm程度のハート型の葉を水面に密生させます。日当たりよく管理すると層立体感が増します。
寒さに弱い植物。
- オオサンショウモ
サンショウモ科
ヨーロッパ、南米、本州など広範囲にわたって分布している多年生の浮遊性シダ植物。
ふわふわ感がある浮き葉の表面には毛があり、若い葉は卵形で、成熟すると中肋に沿って谷折りに。波状に曲がって軍配状になります。
- アマゾンフロッグピット
トチカガミ科
南米の河川や湖沼に分布する多年草。
あさやかなグリーンの丸い葉を放射状に展開しながら成長します。
6月~7月に小さな白い花を付けます。
- フィランサス フルイタンス
トウダイグサ科
南米、中南米原産とされてる多年草。
葉の直径は2㎝程の丸葉、緑~黄~赤まで多彩な色の変化が珍しい浮草。
高温、高光になるほど赤みを増します。
※ 一般的に浮遊植物は、繁殖力が旺盛で育てやすく、また水鉢のコケの増殖や水温上昇を抑えることができます。
浮葉植物
『浮葉植物(ふようしょくぶつ)』は、水面が静かな池沼で自生しています。
水底にしっかり根を下ろして、葉や花を水面に浮かせる。
沈水葉と水上葉で葉の形状が異なるのも特徴です。
おもに、水深1~1.5mの場所に生育しています。
浮葉植物の種類
- スイレン
スイレン科
熱帯から温帯にかけて広く分布する水生多年草。
水底から茎を伸ばし、水面に大きな葉と花を浮かべます。
柔らかな印象がする「温帯性スイレン」と、花茎を水面より上に伸ばして花を咲かせる「熱帯スイレン」があります。
- オオオニバス
スイレン科
ブラジル、アマゾン流域やパラグアイ、アルゼンチンに自生する巨大な宿根草。
1枚の葉の直径は1.5mから2m程。(子供が葉の上に乗っても沈まないとも)
花は夜に咲き、日中は閉じて翌日の夜に再度咲きます。1日目の花は白く、香りがあり、2日目はピンクに変色して香りはほとんどありません。
- コウボネ
スイレン科
日本原産で池や小川に群生する多年草。
葉は、濃緑色で厚く光沢があり、夏になると鮮やかな黄色の花を咲かせます。
花色が赤いものは、「ベニコウホネ」と呼ばれる。
- アサザ
ミツガシワ科
本州以南、ユーラシア大陸の湿地帯に分布する多年草。
葉は、スイレンを小さくしたような切れ込みのある楕円、6月~9月にかけて3~4cmほどの黄色い花を咲かせます。
- ウォーターポピー
ハナイ科
ブラジル原産の多年草。
葉は、円形ないし楕円形で、夏から秋のはじめにかけて、色から白色のポピーのような花を咲かせます。
浮葉植物は、他にも「ヒシ」、「ジュンサイ」「ガカブタ」「ミズヒナゲシ」などがあります。
純白の小さな花をつける「ヒツジグサ」は、日本にも自生している温帯性スイレンです。
抽水植物
『抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)』は、比較的浅い水中、湿地帯などで自生しています。
水底に根を張り、葉や茎が水面から出ている水沢の植物。
挺水植物(ていすいしょくぶつ)とも呼ばれます。
おもに、水深0.5~1m程度の岸近くの水辺に生育し、土壌が乾燥しない限り生存できます。
抽水植物の種類
- ハス
ハス科
ハスは、世界の熱帯、温帯に広く自生している多年性水生植物。
泥の中から茎を伸ばして美しい花を咲かせます。葉は円形で長い柄をもち、根は蓮根(レンコン)になります。
花は、7~9月に開花期を迎え3~4日で散ってしまいます。
- カキツバタ
アヤメ科
北海道〜九州,東アジアの沼沢地に自生する多年草。
葉は、すっと伸びる剣状広線形で先が尖っています。
花は、5月~6月に開花、花弁は3枚あり、楕円形で垂れています。あざやかな紫色の花弁の付け根が白いのも特徴。
- セリ
セリ科
日本全国の山野に自生している多年草。春の七草のひとつとして有名。
葉はひし形でやわらかい。(ミツバと似ていますが、ミツバが葉が三枚なのに対し、セリは5枚)
7〜8月に白色の小さな花を多数つけます。
- ガマ
ガマ科
世界の湿地域北半球に多く分布する多年草。
葉は線形で長さ1~2m、夏になると花茎の先に円柱状の独特の穂をつける=蒲の穂
古事記の「因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)」にも出てくる植物
- ミズバショウ
サトイモ科
北方領土を含む北海道から本州の中部地方にかけて分布する多年草。
葉は幅の狭い楕円形。花弁に見える白い部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる茎の一部が変化したもの。
4~7月に中心部に小さな花をつけます。
抽水植物は、他にも「オモダカ」、「クワイ」、「ハンゲショウ」、「フトイ」、「ホタルイ」、「ウォータークローバー」、「ウォーターマッシュルーム」、「デンジソウ」などがあります。
湿性植物
『湿性植物(しっせいしょくぶつ)』は、湿潤な水辺、湿地帯などに自生しています。
水かさが増したり、陸地に出たりなどの環境の変化に耐えられる。
常に水につかっていなくても生育できるなどの特徴もあります。
湿性植物の種類
- ススキ
イネ科
広く東アジアに分布する多年草。
葉は、葉は線形でみどり色。花穂を尾花といい、秋の七草の一つ。
- ハナショウブ
アヤメ科
日本に野生する「ノハナショウブ」を改良した園芸種。多年草。
江戸系、肥後系、伊勢系などがある
葉は、細長い剣状で、6月頃に美しい花を咲かせます。
- エゾミソハギ
ミソハギ科
北海道〜九州の湿原に群生する多年草。
葉は、長披針形〜広披針形
花期は7〜8月赤紫色の小さい花を穂状につけます。
次から咲くので、長い間花の観賞を楽しめる植物。
- ミズトラノオ
シソ科
西日本、南アジア・オーストラリアの温暖地に自生する多年草。
ムラサキミズトラノオとも言われます。
葉、線形~広線形の葉を3~4個ずつ輪生する。
8~10月にかけ茎頂に、淡紅色の花穂をつけます。
- オオトクサ
トクサ科
北米原産の常緑多年草。
シダ植物の仲間で、北海道から中部地方の山間の湿地に自生しています。
茎の表面には突出したいくつもの節をもち、細く直立して群生する。
7月〜8月に茎の先端からスギナに似た茶色い花( 胞子葉群)を付け、風に乗って胞子を飛ばします。
湿性植物は、他にも「サンカクイ」、「アンペライ」、「シラサギカヤツリ」、「ミズトクサ」、「サワギキョウ」、「サワオグルマ」、「キンショウブ」、「ノハナショウブ」、「チゴザサ」、「フウチソウ」、「ミズカンナ」、「ドクダミ」など他にもいろいろあります。