春になると、ひときわ目立つ真っ白な花を咲かせる「ハナモクレン」。
純白の大きな花は存在感抜群で、ついつい見入ってしまいませんか。
近づくととても良い香り。上品な甘い香りを漂させています。
「ハクモクレン」は、紫色の花が咲く「モクレン」よりも半月ほど早く咲きだします。
また、同じように枝先に白い花を咲かせる、モクレン科の「コブシ」よりも一回り大きい花です。
モクレン科の花は、春の日差しを受けてつぼみの南側が膨らんで、先端が北を指すことから「磁石の木」とも呼ばれています。
目次
ハクモクレン(白木蓮)の特徴、蕾や花の様子。モクレン(木蓮)やコブシ(辛夷)との違い
「ハクモクレン(白木蓮)」は、モクレンの仲間で中国の中南東部を原産とする落葉広葉樹。
中国名は玉蘭、白蘭ともいわれ、品格のある高貴な花とされています。
ハナモクレンの特徴
日本への渡来の時期は江戸時代以前とも言われてますが、古くは「もくらに(毛久良爾)」と呼ばれていたようです。
春になると、葉が出る前に、厚みのある大きな白い花たくさん咲かせます。
花の咲き方は、斜め上向きで閉じたような形の半開状。
開花時期は、3月~4月頃。
花期は短く、2~3日ほど咲いた後に枯れてしまいます。
樹高は、モクレンの仲間の中でも大型の種類で、10-15m程度まで成長します。
学名:Magnolia denudata
原産地:中国
別名:ハクレン(白蓮)・ギョクラン(玉蘭)
花言葉:「高潔な心」
ハクモクレンの蕾のようす
ハクモクレンのツボミは、銀色ぽい。
毛におおわれた着物(鱗片葉=りんぺんよう)に包まれています。
モクレンのつぼみは、暖かい陽射しを受け始めると、南側が成長して膨らみ先端が北向きになることから「磁石の木」。
モクレン科植物は全部、花を北向きに咲かせるようです。
花が開花をはじめると、鱗片葉は落ちていきます。
脱ぎ捨てられた毛皮のコート?
手に取るとこんな感じです。
(タケノコの皮っぽい感じ? ちょっと硬いです。)
ハクモクレンの花のようす
ハクモクレンの花は、カップ状の形が満開です。
外見は花びらが9枚あるように見えますが、花弁は6枚、萼片が3枚。
(花もガクも同形同色)
萼片が花弁と同じ形なので、たくさんの花びらがあるように見えています。
うっとりとさせる美しい花。
近寄ると、上品で優雅な甘い香りがします。
イギリスの王宮植物園園長だったジョセフ・バンクス卿は、モクレンを中国から導入したときに、「枝先にユリの花がついている木」と評したそうです。
ハナモクレンの花の中(雄しべ・雌しべ)
真ん中に雌しべが1本あり、まわりに雄しべがたくさんあります。
(花托の頂端部に雌しべ、雌しべの下に雄しべが螺旋状につく。)
雌しべの先端は細長く伸びたピンク色の花柱となる。
雄しべは縁からクリーム色の花粉を出す。
ハクモクレンの白い花が満開になる様は見事です。
いつまでも見ていたくなる光景です。
モクレン(木蓮)とハクモクレン(白木蓮)の違い
白い花をつけるハクモクレン(白木蓮)も、モクレンと呼んだりもしますが、モクレン(木蓮)とは別種とされています。
ハクモクレン(白木蓮)も、モクレン(木蓮)も同じくモクレン科・モクレン属ですが、モクレン(木蓮)は紫色の花を咲かせます。別名:シモクレン(紫木蓮)。
- ハクモクレンは、モクレンよりは半月ほど早く咲く。
- ハクモクレンは、大型の種類で10mを越す大木となりますが、モクレンは背丈が3~5m程度にとどまる。
- モクレンは群生するが、ハクモクレンは単独で植栽されることが多い。
- モクレンの花は紫色。
コブシ(辛夷)とハクモクレン(白木蓮)の違い
「コブシ(辛夷)」もハクモクレンと同じく、モクレン科・モクレン属の樹木。春になると木いっぱいに白い花を咲かせ、目をひきます。
ハクモクレンによく似た花ですが、花びらの枚数や形、咲き方が違います。
開花時期もハクモクレンより遅く、花の大きさも少し小さめです。
- 花びら:コブシは6枚で薄い。ハクモクレンはガクを含め9枚で肉厚。
- 咲き方:コブシの花は様々な方向へ向かって咲く。ハクモクレンは上向き。
花弁が6枚で、花の中心が見えるような咲き方をしてたらコブシのようです。
また、ハクモクレンは中国が原産地ですが、コブシは日本原産です。