スギとヒノキは、昔から日本人と深い関わりを持ち大切にされてきた樹木。
植林もよく見かけ、人工林面積の内訳では、スギ・ヒノキ林が約7割だそうです。
確かに野山を歩いたり、山道をドライブしているとよく目にする木です。
でも、「スギ?ヒノキ? どちらかかわからない・・・」なんてことありませんか。
どちらも常緑樹で、真っ直ぐにすらりと伸びた円錐形の樹形。
全体的に似たような雰囲気があります。
見分ける一番のポイントは、葉の形。
葉の特徴を知ると間違えにくいですよ。
目次
スギとヒノキの違い・特徴・見分け方
日本は世界有数の森林大国。
国土面積に占める森林面積は、約7割は森林で先進国の中ではフィンランドに次ぐ2位だそうです。
現在、日本の国土面積(3,779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2,505万ヘクタール)が占めており、そのうち、人工林面積は1,020万ヘクタールで、森林面積全体の約4割です。
日本の人工林面積のうち、スギ・ヒノキ林が約7割を占めています。 引用:林野庁
人工林の約7割はスギ・ヒノキ
その中でも、スギの割合がヒノキより倍近く高いようです。
ヒノキは北海道や沖縄ではほとんど見られませが、スギは全国で植栽されています。
公園にスギとヒノキが並んで植えられていました。
左側が「スギ」で右側が「ヒノキ」です。
どちらも日本原産の常緑針葉樹の高木。
スギの特徴
ヒノキ科スギ属
学名: Cryptomeria japonica
花期: 2~4月
果実期 :10~12月
スギには大きく分けて二種類あり、太平洋側に生育しているスギを「表杉(オモテスギ)」
日本海側で生育しているスギを「裏杉(ウラスギ)」と呼ばれています。
(裏杉は、耐雪性の形態的特徴がある。 太枝が下向きでしかも針葉が枝に鋭角につく。)
また、産地によって名前が分けられる事があります。
強度があり加工しやすいので、古くから優れた材木として広い用途に使われてきました。
また神社仏閣などもで多く見られ、各地で信仰の対象とされる特別な木としても用いられています。
名前の由来
スギの名の由来は、真っ直ぐ上に伸びる木だから「直木(すくき)」から来ているという説が有力です。傍らにはびこらず、上へ進み登る木として「進木(ススギ)」が語源との説もあります。
ヒノキの特徴
ヒノキ科ヒノキ属
学名: Chamaecyparis obtusa
花期: 3~5月
果実期:10~11月
木目の美しさや香りの良さに加え、耐久性や保存性の高さから、針葉樹の中で最も優れた材であるとも言われています。
法隆寺の金堂や五重塔などにも使われています。
ヒノキのような葉を持つ木全般を「ヒバ(桧葉)」と呼ぶことがあります。
類似種としてサワラ、ニオイヒバなどがありますが、葉の裏にYの字状の白い気孔があるのがヒノキ。
名前の由来
神事などでこの木をこすって火をおこしたことに由来して「火の木」。
神宮の建築材に使われることから「霊(ひ)の木」、最高のものを表し太陽を意味する「日」という字を使った「日の木」を由来とする諸説があります。
スギとヒノキの見分け方 葉の違い
- スギの葉は、長さ1センチほどの小さな葉が螺旋状(らせんじょう)に集まっていて尖って見えます。
スギの葉は、乾燥して粉にし線香の材料になるそうです。
また「杉玉(すぎだま)」は、スギの葉を集めてボール状にし酒林とも呼ばれ、酒蔵や酒屋さんの軒先に吊るされたりします。新酒ができたことをお知らせだそうですよ。
- ヒノキの葉は、羽状で平たく広がっているように見えます。
近くでみると、うろこのような形状で交互に対生する十字対生。
ヒノキの葉は、食べ物の「掻敷(かいしき)」としても使われています。
殺菌及び防腐効果のある脂分が含まれ、細菌類に対する抗菌性が強いのが理由。
手のひらに乗せると違いがよりわかります。
スギの葉は、先が尖って触ると痛い。
ヒノキの葉は、平ぺったい葉。
スギの幹とヒノキの幹の違い
- スギ:樹皮は赤褐色で、縦に割れ、細長い薄片となってはげ落ちる。
- ヒノキ:樹皮は赤褐色で、縦に割れ薄く剥がれる。
スギの樹皮と較べるとヒノキの樹皮は巾が広いようです。
ヒノキの樹皮は「檜皮葺(ひわたぶき)」として平安時代の文化財の屋根にも使われています。
幹の色は、ヒノキの方が赤っぽい感じがします。
スギの実とヒノキの実の違い
どちらも1、2㎝ほどの小さな実で、松ぼっくりみたいには大きくありません。
スギボックリとヒノキボックリ・・・
- スギの実は、トゲトゲがある球状のボールみたいです。
- ヒノキの実は、コロンとしてアラレみたいです。
スギもヒノキも雌雄同株で、1本の樹木に雄花と雌花が咲きます。
受粉した雌花が膨らんで球果となります。
どちらも鱗片(りんべん)が開いて小さな種子を出します。
種子には小さな翼がついて飛んでいきます。
スギ花粉とヒノキ花粉の飛散時期の違い
花粉症をもたらす木としても有名だったりするスギとヒノキですが、気になる花粉の飛散時期も少し違うようです。
スギ花粉のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉のピークが始まるようです。
症状はどちらも鼻アレルギーのほか、目、のど、皮膚の症状など。
スギもヒノキも「風媒花(ふうばいか)」なので、花粉は風に運ばれていきます。
- スギ花粉の飛散時期は、2~4月。
- ヒノキ花粉の飛散時期は、3〜5月。
(地域によって花粉の飛散時期は若干異なります。)
スギの香りとヒノキの香りの違い
香りに関しては、どちらもウッディで爽やかな香りがする針葉樹。
どちらにもリラックス効果や抗菌作用があるようです。
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森林浴気分を味わえる。
スギの方がより爽やかだと感じる人が多かったり、ヒノキの香りに気品を感じるなど、嗜好によってさまざまのようです。
「尖ってる葉がスギ」
って思ってるとすぐに名前が出てきます~