スイカズラ(吸い葛)は、山野の林縁や道ばたでもよく見られるツル性の植物で、初夏になると芳香のよい唇形花を、葉腋に2個ずつ並べて付けます。
花色は、咲き始めは白ですが、徐々に黄色に変化していく様から「金銀花(キンギンカ)」の名があります。また葉をつけたまま越冬し、寒い冬を耐え忍ぶような姿から忍冬(にんどう)とも呼ばれます。
スイカズラ(吸い葛)の特徴や様子
2色咲いているように見えるスイカズラ(吸い葛)の花。
スイカズラ(吸い葛)の特徴
日本、朝鮮半島、中国の各地に生育する、スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本。
茎は分岐しながら長く伸ばし、他の植物に絡みつき長さは10m程になります。
葉は、大きさは長さ3~7 cm、幅1~3cm卵形~長楕円。
左右対称に茂らせます。全縁(鋸歯はない)。
花期:5~7月
花の大きさは、5cm程、唇状に大きく2つに裂け、上弁は先が4つに裂けてます。2つ並んで咲かせるのが特徴です。
花色は、咲き始めは白で、時間がたつにつれて黄色へと変化します。
花には良い香りがあり、特に夜に強く香ります
花後の果実は5~6mm程。
9~12月に黒く熟し、二つ並んでつきます。
名前の由来は、花のつけ根の部分には蜜がたまっており、花を口にくわえて甘い蜜を吸うことができることからついています。
スイカズラの若芽や若葉は摘み取って茹で、あく抜きをすれば食用になります。
花には蜜のような甘い香りがあり、「ハニーサックル」という名前でも呼ばれ、、ハーブティーに使われたり、香水、精油の原料にも利用されています。
また、古くから生薬として、葉を「忍冬(にんどう)」、花を「金銀花(きんぎんか)」と呼んで、漢方では解毒、消炎、利尿薬として広く使われてます。
スイカズラ(吸い葛)の薬効を期待した薬味酒の「忍冬酒(にんどうしゅ)」は、戦国時代から徳川家康公を筆頭に愛されてきたことでも知られています。
学名:Lonicera japonica
科・属名:スイカズラ科・スイカズラ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
別名:ニンドウ(忍冬)、キンギンカ(金銀花)、ハニーサックル
花言葉:「愛の絆」「友愛」「献身的な愛」
スイカズラ(吸い葛)の様子
スイカズラ(吸い葛)は、生育力の強いつる植物。
フェンスなどに絡ませると良く繁茂します。つるは赤味を帯び、右巻き。
花が咲く季節は春~初夏。
一つ一つの花は短命ですが、花数が多く次々と咲くので長く花を楽しむことができます。
スイカズラ(吸い葛)の花は、素朴さと爽やかさを兼ね備えた、甘い野草の匂いを漂わせます。
ジャスミンに似た上品な香りです。
花ははじめ白色で、後に黄色になります。
花は2個ずつ対になって咲き、花の下に卵形の大きな包葉があります。
花序は筒状。長さは2.5~3.5cm。
5枚の花弁のうち4枚は合弁して上方に開き、1枚は下方に垂れてそり返ります。(上唇は4裂し、下唇は線形)。
上下に大きく分かれた花びらからは、雄しべと雌しべが飛び出すように付いています。
雌しべは1本、雄しべは5本。
花筒の底には蜜が溜まっています。
白い花はやがてクリーム色へ。
黄色の花。
枯れていく様子。
枯れた花。
花後の果実は球形の液果。直径5~7mmの小さな緑色の実。
9~12月の秋から冬にかけて黒く熟していきます。
葉と蕾の様子。
葉は対生し、卵形から長楕円形で、長さ3~7 cm、幅1~3cm。
先は鋭頭か鈍頭で、基部は円形です。
葉の両面、特に下面に毛が多くあります。
枝先の葉腋から短枝を出し、2枚の小さな葉と、2個の蕾をつけます。
色づく蕾。
細かい毛に覆われています。
スイカズラ(忍冬)の育て方
緑のカーテンにもなるスイカズラ(忍冬)は、山野や路傍に自生するつる性低木で、強健で育てやすい植物です。フェンスや支柱に絡まりながらよく繁殖していきます。
地植えはもちろん、あんどん仕立てにするなど鉢植えでも管理できます。
植え付けは春か秋に行います。
- 栽培環境:日当たりと水はけのよい場所を好みます。
- 用土:腐葉土がたっぷり入ったような肥沃な土壌で良く育ちます。
鉢植えのは市販の培養土で問題なく育ちます。 - 水やり:地植えの場合は、地植えの場合は降雨のみで十分。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をやりします。 - 肥料:特に追肥の必要はありません。
花付きが悪くなってきたと感じたら、花用の肥料を与えます。 - 増やし方:挿し木(適宜:6~7月)
生長が早く繁殖力が旺盛な植物です。
ツルが伸びすぎている場合は、短く切ってやります。
また絡めたい場所に適宜誘引を行います。