道の斜面(法面)にポンポンと赤いスタンプのような植物、「コモウセンゴケ」が生えていました。
コモウセンゴケは漢字では、「小毛氈苔」。
名前にコケが付いていて、見た目も苔のようですが、苔の仲間ではなく小型の食虫植物です。
コモウセンゴケってどんな植物?
コモウセンゴケ(小毛氈苔)は、モウセンゴケ科、 モウセンゴケ属の多年生の食虫植物。
コモウセンゴケ(小毛氈苔)の特徴
宮城県以南の本州から南西諸島、東南アジアに分布する小型の食虫植物。
陽当たりよい南斜面に多くみられます。
高さ5〜15cm程度の多年草。
葉はへら形で、根ぎわから輪状に生えます。
葉面に紫紅色の腺毛(せんもう)があり、昆虫などを粘液で捕まえます。
花期は6~9月頃。
花がついている部分は、はじめ渦状に巻いていて、開花するにしたがって立ち上がってきます。花色:ピンク。
名前の由来は、小形のモウセンゴケから。
モウセンゴケの名の由来は、群生すると、赤い毛氈(フェルトの敷物)、緋毛氈(ひもうせん)に見えることから。
モウセンゴケとコモウセンゴケの違い
- 「モウセンゴケ」は、湿原に生育します。
葉がまるく葉柄が長い。葉はやや立ち上がる。
花色は白。 - 「コモウセンゴケ」は、比較的乾燥している場所に生育。
葉はへら型 (楕円型)、葉柄は葉と区別しにくい。地面にぴったり沿うように展開。
花色はピンク。
また、モウセンゴケとコモウセンゴケの中間的形質を持つ「トウカイコモウセンゴケ」があります。
東海地方から近畿地方に分布するとされますが、
コモウセンゴケによく似ていて、区別がしにくい。花色はピンク。
※モウセンゴケの仲間は、栄養分の少ない土地に生えるので、虫の体を分解して窒素やリンなどの栄養分を補給していると考えられています。
葉の表面にある、腺毛と呼ばれる産毛のような器官の先端から、消化液を出します。
消化液は酸性で、タンパク質を分解する消化酵素などが含まれ、虫の体に浸透し溶かし、腺毛から分解物を吸収します。
また他の植物同様に、地中、水から養分を吸い、葉緑素を持って光合成を行い、花を咲かせ、種をつけて殖える植物です。
コモウセンゴケの様子
3月に見かけたコモウセンゴケ。
根出葉は広倒卵形。長さ2~4cm。
ロゼット状に展開。
葉の表面には赤い長腺毛。
腺毛から出る粘液で虫をとらえて消化吸収します。
若い花序は、先端がワラビのようにくるっと巻いています。
花は淡紅色で径1cm程度。茎の上部に2〜10個程度がつきます。
初夏のコモウセンゴケの様子
5月の終わりに見かけたコモウセンゴケ。
葉の色が、真っ赤から少し緑がかっています。
くるっと丸まっていた花茎の先端は、真っすぐ伸びてます。
蕾の先はピンクに色づいています。
伸び切った茎。
花は、花序の一方に偏ってついてます。