ベアグラスという名でもよく出回っている「カレックス・エバーゴールド」は、伊豆大島で発見されたオオシマカンスゲの園芸品種。
クリーム色の斑の入った細長い葉を、わさっと茂らすやさしい感じがする観葉植物です。
春になると、葉の間から花穂を伸ばし、絵筆のような雄小穂と雌小穂をつけ、地味ながらもユニークです。
寒さにも強く、放任でもよく育ち大きく生長します。
目次
ベアグラス カレックス・エバーゴールド
冬の終わりから花をつけ始める地植えの「カレックス・エバーゴールド」。
ベアグラス カレックス・エバーゴールドの特徴
カレックス・エバーゴールドは、日本原産のカヤツリグサ科・スゲ属の常緑多年草。
オオシマカンスゲの斑入種で、黄色の縞斑が美しい品種です。
ベアグラスは流通名で、ベアは「耐える」という意味があり、寒さや刈り込みに耐えることからついてるようです。
背丈:20~50cm。
地際から黄縞の斑入り葉を、放射線状に広げ密生した大株になります。
冬でも常緑で、美しい葉色を保ちます。
春になると葉の間から花穂を伸ばし、茶色の小花を咲かせます。
ひとつの花穂には、雄小穂と雌小穂があります。
「カレックス」の名前はスゲ属の学名ですが、園芸では観賞用として栽培されるスゲ属の植物をまとめてカレックスと呼ばれており、多くの種類があります。
白や黄縞の斑入りの葉のものが一般的ですが、黄金葉や銅葉種などもあります。
学名:Carex oshimensis ‘Evergold’
科・属名:カヤツリグサ科・スゲ属
別名:オオシマカンスゲ(大島寒菅)
原産地:日本
花言葉:「物静か」「隠れ忍ぶ」「自重」
ベアグラス カレックス・エバーゴールドの様子
細い線状の葉を弓なりになびかせるカレックス・エバーゴールド。
園芸店で購入した際は、手のひらに乗せれる大きさでしたが、3年でここまで大きく生長しました。(地植えで育ててます)。
クリーム色の中斑(縦斑)が鮮明に入り、明るい色合いです。
葉はやや厚みがあり、艶があります。
葉幅は5㎜ほど。
ベアグラス カレックス・エバーゴールドの花
2月の終わりから花をつけはじめました。
ひとつの花穂に雄花と雌花とつけます。
先端部分に雄小穂(ゆうしょうすい)が一つ。
中程に雌小穂(ししょうすい)が数個つきます。
花穂の先につける雄小穂(ゆうしょうすい)。
褐色で細長い紡錘形。
雄小穂の出はじめは、絵筆のようです。
雄小穂から黄色い雄しべが出はじめました。
雄小穂の雄しべ、長い葯。
雄小穂の雄しべの様子。
ボサボサした小さなブラシのよう。
枯れ始め。
枯れた雄小穂。
花後に出来る果実は小堅果です。
カレックスとオリヅルランの違い
「カレックス」と「オリズルラン(折鶴蘭)」は、ともに細長い葉を放射線状に枝垂らせるグラス類。
一見、似ていて、どちらもよく見かける植物です。
オリヅルランは、南アフリカ原産のキジカクシ科オリヅルラン属の常緑性多年草です。
オリズルランの葉はカレックスよりも葉幅が広く、カレックスのような繊細でふわっとした感が少なく、どちらかと言うと、すっきりとしたシャープな印象があります。
春~秋にかけてランナー(匍匐茎)の節から白い小さな花を咲かせます。
オリズルランは常緑性多年草でありますが、雪が降るなど、寒さが強まると葉が黒くなり枯れるようです。
カレックスは雪が積もった後でも、元気に葉を茂らしていますが、オリズルランの葉は枯れてしまいました。
オリヅルラン(折鶴蘭)
学名:Chlorophytum comosum (Thunb.) Jacques
科・属名:キジカクシ科・オリヅルラン属
原産地:南アフリカ
「ソトフオリヅルラン(外斑折鶴蘭)」と「カレックス・エバーゴールド」の葉の比較。
オリズルランには、園芸品種がいくつかあります。
よく見かけるものは、白い縁取りが入るのソトフオリヅルラン(外斑折鶴蘭)や、葉の中心に白い筋の入るナカフオリヅルラン(中斑折鶴蘭)。
ベアグラス カレックス・エバーゴールドの育て方
カレックスは、放任でもよく茂り、丈夫で育てやすいです。
耐暑性、耐寒性もあり、冬も常緑で一年中きれいな葉色を保ちます。
花壇の縁取り、寄せ植え、グランドカバー、つり鉢仕立てなどと用途が広い植物です。
- 栽培環境
日当たりのよい所から半日蔭で育ちます。
水はけの良い環境を好み、夏の高温多湿をやや嫌います。
冬の耐寒性は氷点下に耐えられるほど強く、戸外で越冬が可能です。 - 水やり
地植えの場合は、根が定着したあと水やりは降雨のみで十分です。
鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いてから与えます。
水切れをさせると葉先が枯れ込むので、夏場などは極端に乾燥させない注意も必要。 - 増やし方
株分け。(適宜:3月~4月上旬)。
大きく育った株を掘り上げ、根を切り分けていくつかの株にします。 - 肥料
やせ地でも育つ植物。
元肥を施しておけば追肥は必要ありません。
我が家のカレックス・エバーゴールドは、想像以上に大きくなりました。
庭植えで株が大きくなり過ぎたら、株分けをするのがよいと思います。
草丈を低く抑えたい場合は、適宜刈り込み作業を行います。
また、3月に葉を刈り込むことにより、4月には新しい葉が勢いよく伸びて出そろい、見栄えがよくなるようです。