冬に赤い実が見られる木 実や葉の様子

たわわに実るピラカンサの実の写真
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晩秋から冬にかけて、野山や街路樹、庭木や公園などで、赤い実をつけてる木をよく見かけませんか。赤い実付きの枝物も花屋さんに出回る季節。

赤い実は冬空に映え、寒い季節に彩りを与えてくれる貴重な植物。
小鳥たちが、赤い実をついばむ姿にも癒されます。

冬に可愛い赤い実をつける樹木たち

赤い実を鳥がついばむ様子

赤い実は、葉の緑と補色関係にあるのでとても目立ちます。

木の実が赤い色をしている理由は、鳥に見つけもらいやすくするため。
鳥に果実を食べてもらい、種子を遠くに運んでもらえるように、小さな赤い実へ進化させたとも言われていますよ。

種は消化できないので、鳥の糞(ふん)となって、地上に落ち、そこから新しい命が芽吹きます。

赤い実を食べにくる鳥たちは、ヒヨドリ、ツグミ、オナガ、メジロ、ムクドリ、キジバト、キレンジャクなど。

 

クロガネモチ(黒鉄黐)

たわわに実るクロガネモチ(黒鉄黐)の赤い実

クロガネモチは、本州から沖縄まで幅広く分布する、モチノキ科・モチノキ属の常緑高木。
暖地の山野に生える10m~20mになる高木です。
庭木や街路樹、公園でもよく見かけます。

モチノキの仲間で、若い枝や葉柄が黒ずんでいることから名づけられました。

クロガネモチ(黒鉄黐)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は直径5~6mmほどの球形。
葉先に小さな赤い実を塊りにように付けます。

葉は表面はつるりとしていて、光沢がある楕円の形。
葉先が尖ります。

株は雌雄異株なので、クロガネモチの実は、雌の木にしかなりません。

学名:Ilex rotunda
科名・属名:モチノキ科・モチノキ属
別名:フクラシバ、フクラモチ
実の時期:11月~2月

 

ピラカンサス

赤い実をつけるピラカンサスの様子

ピラカンサスは、南ヨーロッパ及び西アジアを原産とする、バラ科・ピラカンサ属の常緑低木。
樹高は3m~4mくらいで、生垣や庭木、鉢植えでもみかけます。

ヒマラヤトキワサンザシ、トキワサンザシなどの種類をまとめピラカンサスという名前で呼ぶことも多いです。ピラカンサとも呼ばれます。

ピラカンサスの赤い実と葉

実と葉の様子。

果実は直径6mmほどのつぶれた球形。
秋から冬にかけて、枝をしならせるほどたわわに赤い実をつけます。

葉は肉厚で光沢がある長卵形~披針形。
枝にはトゲがあります。

ピラカンサの果実は有毒だと言われています。誤食のないように気を付けてください。

学名:Pyracantha
科・属名:バラ科トキワサンザシ属
別名:ヒマラヤトキワサンザシ、トキワサンザシ、ピラカンサ
実の時期:10月~2月

 

ナンテン(南天)

赤い実をつけたナンテンの様子

ナンテンは、茨城県以西の本州・四国・九州に分布する、メギ科・ナンテン属の常緑低木。
古くから庭木として植えられてきました。

株立ち状に育ち、小葉が集まった大きな羽根状の葉が特徴的。

難を転ずるという意味を持つことから縁起物としても知られ、正月の飾りとしても用いられます。

ナンテンの実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は直径6〜7mmほど球形。
秋から初冬に赤い艶やかな実をつけます。

葉は羽状複葉、小葉は広披針形で先端が少し突きだします。
冬に紅葉します。

乾燥させた果実は、南天実(なんてんじつ)といい咳止め剤(鎮咳剤)として利用されています。

学名:Nandina domestica
科・属名:メギ科ナンテン属
別名:ナルテン(成天)
実の時期:11月~2月

 

ガマズミ(莢蒾)

赤い実をつけたガマズミ(莢蒾)の様子

ガマズミは、北海道西南部から九州に分布する、レンプクソウ科 ガマズミ属の落葉低木。
日当たりの良い山野に自生します。

樹高は2~3mほど。
春に白い小花が散状花序につき、秋になると艶やかな赤い実がめだちます。

ガマズミ(莢蒾)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は長さ6〜8mmの広卵形。
9~10月に赤く熟し、霜が降りる頃になると、白い粉をふいて甘くなり、食べられます。
中心に硬い核があります。核果(かくか)。

葉は卵型から広卵形で、細かい鋸歯あり。
両面とも毛があり、葉脈がめだちます。
秋は紅葉し、落葉します。

学名:Viburnum dilatatum Thunb.
科・属名:レンプクソウ科・ガマズミ属
別名:アラゲガマズミ、カリンカ
実の時期:10月〜12月

 

ハクサンボク(白山木)

赤い実をつけたハクサンボク(白山木)

ハクサンボクは、日本固有種で日本全国に生息し、主に西日本に自生するレンプクソウ科・ガマズミ属常緑低木。

庭木として人も気があり、伊勢神宮のものが有名。

真っ赤な実が山を照らすことから、九州ではヤマテラシ(山照らし)とも呼ばれています。

ガマズミの仲間で、ガマズミとよく似ています。
ガマズミは落葉樹ですが、ハクサンボクは常緑樹で、葉に照りがあり厚みがあります。

ハクサンボク(白山木)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は長さ7~9mmほどの楕円形。
秋から初冬に艶やかな赤い実をつけます。
中心に硬い核があります。核果(かくか)。

葉は厚みがある幅広い卵型、表面はツヤがあり鈍い波形の鋸歯があります。
秋の終わりごろから冬になると、一部の葉が紅葉します。

学名:Viburnum japonicum (Thunb.) Spreng.
科・属名:レンプクソウ科・ガマズミ属
別名:イセビ、ヤマテラシ(山照らし)、イヌデマリ(犬手鞠)
実の時期:10月〜12月

 

ヒイラギモチ(柊黐)

赤い実をつけたヒイラギモチ(柊黐)

ヒイラギモチは、中国原産からなるモチノキ科・モチノキ属の常緑小高木。
クリスマスのリース作りなどにも使われます。

別名は、チャイニーズホーリー。
シナヒイラギ(支那柊)、ヤバネヒイラギモチ(矢羽柊黐)とも呼ばれます。
クリスマスホーリー(流通名)。

原産地が中国で、鋸歯のある葉がヒイラギの葉に似ているため、名がつけられましたが、ヒイラギ(柊)はモクセイ科で、果実は紫黒色に熟し、 全く異なる植物です。

ヒイラギモチ(柊黐)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は直径10ミリ程の球形。
晩秋から冬に、葉の付け根に赤い実をつけます。

葉は四角張った葉で、鋸歯に鋭いトゲがあります。
厚みがあり、光沢がある革質。
葉の形は個体差があります。
老木の葉には鋸歯がなくなります。

雌雄異株で、実は雌株にしかつきません。(単為結果)。

学名:Ilex cornuta Lindol.
科・属名:モチノキ科 ・モチノキ属
別名:シナヒイラギ(支那柊)、ヤバネヒイラギモチ(矢羽柊黐)、ヒイラギモドキ
実の時期:11月~

赤い実をつけたヒイラギモチ(チャイニーズホーリー)

ヒイラギモチ(チャイニーズホーリー) ヒイラギに似た植物

2022-03-03

 

マンリョウ(万両)

赤い実をつけたマンリョウ(万両)

マンリョウは、関東以西の本州〜九州に分布する、サクラソウ科・ヤブコウジ属の常緑低木。
林間の半陰地に自生します。

果実と常緑の濃緑色の葉を観賞する、縁起植物として親しまれています。

幹はまっすぐ上に伸び、先の方で小枝をまばらに出すのが特徴。

赤い実をつける、センリョウ(千両)より美しく価値が高いとして、名付けられました。

マンリョウ(万両)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は直径6~8ミリの球形。
晩秋~冬に艶やかな赤い実を、枝にぶら下がるようにつけます。

葉は長楕円形で光沢があり、ふちがシワシワに波打つのが特徴。
秋の終わりごろから冬になると、一部の葉が紅葉します。

学名:Ardisia crenata
科・属名:サクラソウ科・ヤブコウジ属
実の時期:11月中旬~1月

 

センリョウ(千両)

赤い実をつけたセンリョウ(千両)

センリョウは、東海地方〜九州に分布する、センリョウ科センリョウ属の常緑小低木。

実と葉のコントラストが美しく、和風庭園では定番の1つの下草です。
縁起の良い庭木として正月飾り等にも利用されます。

センリョウ(千両)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は直径5~7mmほどの球形。
秋から初冬に、赤く小さな実を枝の先に塊のように付けます。

葉は長楕円形から卵状楕円形。
ギザギザがあり、枝から対になって生じます。
葉の先端はとがります。

学名:Sarcandra glabra
科・属名:センリョウ科・センリョウ属
別名:クササンゴ(草珊瑚)、センリョウカ(仙寥花)、タケフシソウ(竹節草)
実の時期:10月~2月

 

ヒャクリョウ(百両)、カラタチバナ(唐橘)

ヒャクリョウ(百両)、カラタチバナ(唐橘)

ヒャクリョウ(百両)は、別名カラタチバナと呼ばれる植物です。

茨城県~新潟県以西に分布するに分布する、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木。
常緑樹林の林内に生育します。

全体の姿はマンリョウに似ていますが、茎は一本立ちして枝を出しません。
葉や果実はマンリョウよりも大きい。
園芸品種には、白実や黄実があります。

マンリョウやセンリョウよりも実の数が少ないことなどから、ヒャクリョウ(百両)という名前が付けられています。

ヒャクリョウ(百両)、カラタチバナ(唐橘)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は6〜7mmの球形。
秋から初春にかけて、艶やかな赤い実をつけます。

葉は狭卵形〜披針形。
葉質が厚く光沢があり、浅い波状の鋸歯があり、先端はとがります。

学名:Ardisia crispa
科・属名:サクラソウ科・ ヤブコウジ属
実の時期:11月〜4月

 

ジュウリョウ(十両)、ヤブコウジ(藪柑子)

赤い実をつけたジュウリョウ(十両)、ヤブコウジの様子

ヤブコウジは、北海道南部~九州に分布する、サクラソウ科・ヤブコウジ属の常緑小低木。

ヤブコウジは、果実や葉の部分が「蜜柑(ミカン)」=「柑子(コウジ)」によく似ていて、山地の藪(ヤブ)の中に生えることから、ヤブコウジ(藪柑子)と名がついています。
別名「十両(ジュウリョウ)」。

樹高は低く、茎は直立し枝分かれせず、根を伸ばし群生します。

日本最古の歌集「万葉集」で、「山橘(ヤマタチバナ)」の名で詠まれた植物。

ジュウリョウ(十両)、ヤブコウジ(藪柑子)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は5〜6mmの球形。
秋から初春にかけて、葉陰に隠れるように下向きに、艶やかな赤い実をまばらにつけます。

葉は長楕円形または狭楕円形。
光沢があり、葉縁に細かい鋸歯があり、先端はとがります。

学名:Ardisia japonica
科・属名:サクラソウ科・ ヤブコウジ属
別名:ヤマタチバナ (山橘)
実の時期:11月〜4月

 

※ マンリョウ(万両)、センリョウ(千両)、ヒャクリョウ(百両)、ジュウリョウ(十両)の名は、果実の多さや樹高の高さに拠ります。
この内、センリョウはセンリョウ科で、その他は、ヤブコウジ科です。

 

ウメモドキ(梅擬き)

赤い実をつけたウメモドキ(梅擬き)

ウメモドキは、本州、四国、九州の落葉広葉樹林内に分布するモチノキ科・モチノキ属の落葉低木。
庭木や盆栽、生け花の花材として利用されています。

名前は、多くの枝を出す樹姿や葉の形がウメに似ることにちなんでいます。

赤い実は、落葉後も落ちずに枝に残ります。
実の色が黄色や白の品種もあります。

ウメモドキ(梅擬き)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は5〜6mmの球形。
9月頃から赤く熟し、12月頃に落葉しても光沢がある赤い実がみられます。
雌雄異株で、雌株に実がなります。

葉は、楕円形または卵状長楕円形。表面には短毛が散生してます。
ふちは細かい鋸歯があり、先端が尖ります。

学名:Ilex serrata
科・属名:モチノキ科・モチノキ属
別名:オオバウメモドキ
実の時期:10月〜12月

 

イイギリ(飯桐)

赤い実をつけたイイギリ(飯桐)

イイギリは、本州、四国、九州に分布する、ヤナギ科・イイギリ属の落葉高木。
果実がナンテンに似るため、「ナンテンギリ(南天桐)」ともいう名もあります。

大きくなる木で、山に自生していたり、公園や街路樹で見かけます。

桐の仲間ではなく、昔、大きな葉で飯を包んだため「イイギリ(飯桐)」と呼ばれてます。

秋になると、赤い実が枝から葡萄の房のように垂れ下がり、落葉後も残ります。
白実の品種もあります。

イイギリ(飯桐)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は8〜10mmの球形。
秋にブドウの房のように赤い実をつけます。
熟すと橙色から濃い赤紫になり、落葉後も長く残ります。
雌雄異株で、雌株に実がなります。
(ときに雌雄が雑居することもある)。

葉は、幅広い心形で表は光沢があり、裏は白っぽい。
ふちには粗い鋸歯があり、先は鋭くとがります。

学名:Idesia polycarpa
科・属名:ヤナギ科・イイギリ属
別名:ナンテンギリ(南天桐)、イヌギリ、ヤマギリ、サワギリ、クルマジンダ
実の時期:10月〜12月

 

ナナカマド(七竈)

赤い実をつけたナナカマド(七竈)

ナナカマドは、北海道から九州までの深山に分布するバラ科・ナナカマド属の落葉高木。

特に北海道や本州の高山に多く、庭木や公園、庭園、街路樹などでみかけます。

名の由来には、材が堅く、7回カマドに入れても燃え尽きないという説。
良質の炭を作るには7回かまどに入れる必要があることからという説があります。

実も葉も真っ赤になります。
赤い実は冬まで残り、雪とのコントラストもきれいです。

ナナカマド(七竈)の実と葉の様子

実と葉の様子。

果実は5〜mmの球形。
枝先にまとまって垂れさがります。
秋になると赤く熟し、落葉後もしばらく枝に残ります。

葉は、小さな葉が集まった羽根状の葉。
小葉は細長い楕円形で先端が尖り、ふちには浅く鋭いギザギザがあります。

学名:Idesia polycarpa
科・属名:ヤナギ科・イイギリ属
別名:オオナナカマド、エゾナナカマド
実の時期:10月〜12月

 

 

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