艶やかな赤い実が特徴な、ナンテン(南天)とマンリョウ(万両)は、晩秋から初冬にかけての、花が少なくなる季節に彩りを与えてくれます。
神社やお寺、庭園でもよく見かける植物です。
ナンテン(南天)もマンリョウ(万両)も、常緑の濃緑色の葉と、赤い果実を観賞する縁起植物で、どちらも古くから園芸植物として親しまれてきました。
似たような赤い実ですが、実のつき方や葉をみると、見分けが簡単です。
目次
ナンテン(南天)とマンリョウ(万両)の違い・見分け方、特徴・様子
「ナンテン(南天)」:メギ科の常緑低木。
「マンリョウ(万両)」:サクラソウ科(ヤブコウジ科)の常緑低木。
どちらも紅葉シーズンの11月頃から、赤く艶やかな丸い実が目立ちはじめます。(実の大きさ:径5~8mm程度)。
同じ季節に、似たような赤い実がみられますが、実のつき方で見分けが出来ます。
- 「ナンテン(南天)」は、枝先に大形の円錐花序を出し、花後に赤い実をつけます。
ブドウの房のような円錐状に実をならします。 - 「マンリョウ(万両)」は、葉の付け根から伸びた小枝の先に花をつけ、花後に赤い実つけます。
葉の下に、サクランボのように実をぶら下げます。
葉の形の違いでも、見分けがつきます。
ナンテン(南天)とマンリョウ(万両)の葉の違い
- ナンテン(南天)の葉、小葉は披針形で、数回にわたって分岐する羽状複葉。
- マンリョウ(万両)の葉は、単葉で、縁がシワシワに波打つのが特徴的な長楕円形。質は厚い。
ナンテン(南天)とマンリョウ(万両)の花の違い
どちらも1㎝弱の小さな白い花。
- ナンテン(南天)の花期は、6〜7月頃。
枝先に大形の円錐花序を出し、小さな白い花をたくさんつけます。
黄色い花粉が目立ちます。 - マンリョウ(万両)の花期は、7〜8月頃。
枝先に小さな白い花を、散形状につけます。
花弁の先が反り返ります。
ナンテン(南天)の特徴・様子
ナンテン(南天)は、中国や日本が原産の常緑低木。
メギ科・ナンテン属。
茎が直立して、先端に大型の数回にわたって分岐する羽状複葉の葉を、互生につけています。
名前の由来は、漢名の「南天燭(なんてんしょく)」または「南天竹(なんてんちく)」に由来し、日本では「南天」と呼ばれるようになりました。
難を転ずることにも通じるため、縁起木、厄よけ、魔よけとして古くから庭に植えられてきました。お正月飾りとしても使われます。
漢方では、乾燥させた果実を南天実(なんてんじつ)といい、咳止め剤(鎮咳剤)として利用されています。
科・属名:メギ科・ナンテン属
別名:ナルテン(成天)
原産地:日本、中国、東南アジア
開花時期:6月~7月
実の観賞期:11月~2月
樹高:1~3m
花言葉:「私の愛は増すばかり」「機知に富む」「よい家庭」
晩秋にたわわに実をつけるナンテン(南天)。
果実は薬用にされます。
アルカロイドの一種であるナンテニンが含まれ、乾燥させたものは漢方薬「南天実(なんてんじつ)」。咳止めや喉飴に使われます。
果実の先端に花柱が残ります。
中には種子が二粒入っています。
葉は互生で、3枚ずつ葉をつける複葉。
小葉は長さ2~10cm、幅0.5~2.5cmの披針形。
ナンテンの生の葉は、防腐・殺菌作用を持つ成分を含んでます。
熱い食べ物に葉を置くと、葉に含まれるナンジニンからチアン水素という物質がごく微量発生し、殺菌効果が生じるそうです。
秋が深まるにつれ、次第に紅葉するナンテン(南天)の葉。
ナンテン(南天)は、真っ赤に紅葉するものや、あまり紅葉しないで青々している木もあります。
マンリョウ(万両)の特徴・様子
マンリョウ(万両)は、中国や日本、朝鮮半島、インドなど東アジア原産の常緑低木。
メギ科・ナンテン属。
茎は直立し、上部で数本に分枝します。
古い枝葉を落としながら上へ伸びてい行く性質なので、上部は葉がつきますが下部は枝葉がありません。
名前の由来は、赤く美しい実を価値のあるものとして名付けられた、センリョウ(千両)より、実が赤く大きいことから、さらに価値のあるマンリョウ(万両)の名が付けられたといわれます。
古くから縁起のよい植物として、お正月の床飾りや生け花などに使われてます。
科・属名:サクラソウ科(ヤブコウジ科)・ヤブコウジ属
別名:コウジ、橘(タチバナ)
原産地:日本、中国、朝鮮半島、インド
開花時期:7月〜8月
実の観賞期:11月中旬~1月
樹高:30㎝~1m
花言葉:「寿ぎ」「財産」「徳のある人」「慶祝」
秋に色づきはじめたマンリョウ(万両)の実。
マンリョウ(万両)の実は、葉の下に垂れ下がってつきます。
モミジが紅葉した頃には、真っ赤な実へ。
マンリョウ(万両)の実は、とても艶やかです。
実には毒がないようですが、生臭く美味しくないようです。
マンリョウ(万両)の実は、小さなサクランボのようで愛らしい。
茎も赤い。
葉は互生で、葉の縁が波打った単葉。
長さ7~15cm、幅2~4cmの長楕円形で先がとがり、縁には波状の歯牙があります。
葉は両面とも無毛で、表面にはやや光沢があり、質が厚い。
マンリョウ(万両)は、ふつう紅葉はしないようですが、赤く色づいてる葉もみられました。