サワギキョウ(沢桔梗)は、高原の湿地など水辺の生える、キキョウ科ミゾカクシ属の多年草で、沢に咲くキキョウ(桔梗)と言う意味で名がつけられています。
花色は濃紫色で、キキョウのイメージを持ちますが、花姿はかなり違い、切れ込みの深い独特の花を穂となって咲かせます。別名では「チャウジナ(丁字菜)」と呼ばれます。
サワギキョウ(沢桔梗)の特徴や様子
夏の終わり、湿原を紫色に飾る可憐な「沢桔梗(サワギキョウ)」。
サワギキョウ(沢桔梗)の特徴
日本、中国北部、朝鮮半島原産のキキョウ科ミゾカクシ属の多年性。
山地の湿った草地や湿原などに自生する野草です。
草丈は50cm~100cm。
茎は中空で枝分かれせず直立し、傷つくと白い乳液を分泌します。
葉は互生し、長さ4~7cmの披針形で、縁には細かい鋸歯があります。
上部へ行くほど小さくなります。
花期は8~9月。
茎の上部に濃紫色の唇形花の多数の花を、穂になって咲かせます。
切れ込みの深い独特の花形。
キキョウと同じく雄性先熟で、雄しべから花粉を出している雄花期の後、雌しべの柱頭が出てくる雌花期になります。
名前の由来は、沢に咲く桔梗と言う意味でついています。
※全草に有毒なアルカロイドのロベリン(Lobeline)が含まれています。
ロベリンは医薬品としても使用される反面、毒ともなり中枢神経を刺激し、頭痛、嘔吐、下痢、呼吸困難・麻痺、心臓麻痺を引きおこし死亡に至ることもあり、誤食しないよう注意が必要です。
学名:Lobelia sessilifolia、L. cardinalisなど
科・属名:キキョウ科・ミゾカクシ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
別名:丁字菜(チャウジナ)
花言葉:「高貴」「悪意」「特異な才能」
サワギキョウ(沢桔梗)の様子
茎先から伸ばした穂状花序に、青紫色をした小花を多数咲かせる沢桔梗(サワギキョウ)。
花は下から上へ咲きます。
すらりと伸びた茎に、さわやかな青紫色。
切れ込みの深い独特の花形は、鳥が飛んでいるようにも見えます。
深く5裂した唇形の花。
上唇は2深裂して左右に広がり、下唇は3浅裂します。
各唇弁の裂片縁には白毛が密生します。
萼は鐘状で先は5裂。
キキョウと同じく雄性先熟。
雄しべから花粉を出している雄花期と、その後に雌しべの柱頭が出てくる雌花期があります。
上から見たサワギキョウ(沢桔梗)の様子。
この花の形には理由があるそうです。
下唇は昆虫の足場になり、
蜜を吸おうと花弁の基部に頭を突っ込んだ際に、昆虫の背中に花粉が付いて運ばれるようになってるようです。
サワギキョウ(沢桔梗)の蕾の様子。
サワギキョウ(沢桔梗)の葉。
葉は細長い形(披針形)で、細かい鋸歯があり、葉先はとがります。
上部の葉は次第に小さくなり、苞葉となる
ほぼ葉柄はなく、茎を取り囲むようについてます。
サワギキョウ(沢桔梗)の果実。
花後には長さ0.8~1cm程度の球形の果実が多数できます。
花が終わった下の方から果実がみられます。
果実は球形の蒴果。先に萼片が残ります。
丸い殻の中に小さな種が多数詰まっており、これがはじけて芽を出し、周りに群落を作ります。
種子は扁平な卵形で光沢があり、片側が薄く翼状になります。
種子は長さ1.5mm程度の扁平な卵形。
光沢がある紫色で、片側が翼状に薄くなっています。
サワギキョウ(沢桔梗)の育て方
サワギキョウ(沢桔梗)は湿原に生えている湿生植物で、一年を通じて絶えず土が湿った状態を好みます。
株元が少し水につかる状態でも良く、地植えの場合は湿潤な場所に植え込みます。
冬枯れして越冬する多年草なので、晩秋に葉が枯れ始め、冬は休眠(地上部なし)します。
- 栽培環境
日当たりと風通しがよく、肥沃で水分の多い環境を好み、乾燥を嫌います。
- 用土
あまり選びません。
一般的な赤玉土や田土など。 - 水やり
水やりは水切れしないよう注意し、鉢植えの場合は土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るほどたっぷりと与えます。 - 肥料
元肥を施せば特に必要ありませんが、やる場合には、春に化成肥料などを少量置き肥します。 - 増やし方
株分け、挿芽、実生。
梅雨期に切り戻すと草丈を抑えられます。切った茎で挿し芽もできます。
全草に毒がありますので、誤って口に入れないようご注意下さい。