「ミツガシワ(三槲)」は、湿地や浅い水中に生える水生植物で、地下茎を横にはわせて広がり、群生します。
春になると、白い縮毛をつけた純白の可愛いらしい花をたくさん咲かせます。
葉は3枚の小葉からなり、青葉の様子も爽やかです。
ミツガシワ(三槲)は、他にも「ミズハンゲ(水半夏)」、「ミズゴボウ(水牛蒡)」などの呼び名があります。
ミツガシワ(三槲)の特徴や様子
桜が咲く頃に見かけたミツガシワ(三槲)。
ミツガシワ(三槲)の特徴
ツガシワ科・ミツガシワ属の一属一種の多年草。
北海道、本州、九州の平地から高山までの水湿地、池畔や沼に生える水生植物(抽水植物)。
水の中に地下茎を横に伸ばし群生します。
葉は長柄があり、複葉で3小葉。
花期は4~5月頃。
高さ20~40 cmの花茎を出し、花径1~2cmほどの小花を総状花序に多数つけます。花色は白色、ときに淡紫色。
縮れた白い毛が裂片の内面に密生しています。
名前の由来は、三枚の小葉が「カシワ(槲)」の葉に似ていることからとされてます。
生薬としてもちいられ、乾燥葉が「睡菜葉(スイサイヨウ)」と称されて苦味健胃薬として利用されます。
また、ミツガシワ(三槲)は約200万年前の氷河期から北極周辺の北半球に広く生息していた、生き残り植物の一つと言われており、「氷河期の遺存植物」と呼ばれてます。
科・属名:ミツガシワ科・ミツガシワ属
別名:ミズハンゲ(水半夏)、ミズゴボウ(水牛蒡)
原産地:日本を含む北半球の寒帯~亜寒帯
花期:4~5月
草丈:15~30㎝
花言葉:「私は表現する」
ミツガシワ(三槲)の様子
まっすぐ伸ばした花茎の上部に、白い小花を総状花序に多数つけます。花は下から順に咲いていきます。
蕾のうちは赤っぽいですが、開花した花は小さな花は真っ白です。
花冠は漏斗形で深く5裂しています。
赤い蕾と白花のコントラストも愛らしい。
蕾の様子。
萼は緑色の楕円形で5深裂してます。
花径1~2cmほどの小花。
花冠は5深裂。
裂片の内には白い縮毛がたくさん生えています。
雄しべは5個。花糸は白色、葯は赤褐色。
雌しべは1個。柱頭は黄色で2裂しています。
糸のように細い真っ白な縮れた毛が印象的。
株には2つのタイプがあり、雌しべが雄しべより長い長花柱の株と、逆に雌しべが雄しべより短い短花柱の株があります。
写真のように雄しべのほうが長い花は、短花柱花で結実しないようです。
雌しべのほうが長い長花柱花が結実するとされます。
雌しべが雄しべより長い長花柱の株と、逆に雌しべが雄しべより短い短花柱の株の2つのタイプがあり(これを異形花柱性:ヘテロスタイリーという)、長花柱のタイプのみが結実するといわれている。
上から見た様子。
果実は、直径5~7mmの球形の蒴果で、熟すと2裂します。
種子は、直径2〜3mmの扁球形で光沢がある黄赤色。
根茎は太く長い円柱状。
水中に根を下ろし、細い根を多数出して殖え広がります。
葉は根茎から根生して水中から突き出てきます。
葉は長柄があり、質が厚い3出複葉で互生。
小葉は長さ4~10cm。幅3〜8cm。
卵状楕円形で、先は円形または3角状で微突端、基部は円形~広いくさび形で縁に波状の鋸歯があるかまたはやや全縁。
ミツガシワ(三槲)に似ている花 「イワイチョウ(岩銀杏)」
「イワイチョウ(岩銀杏)」は、湿原などの水辺に自生するミツガシワ科の植物。(ミツガシワ科・イワイチョウ属の一属一種の多年草)。
南千島と日本の北海道、本州の中部以北に分布し、多雪地の亜高山から高山にかけての湿原などに自生しています。
花はミツガシワ(三槲)に似ていて、白い五弁花の小花を咲かせます。
別名ミズイチョウ(水銀杏)。
※ 花は似通っていますが、ミツガシワ(三槲)とイワイチョウ(岩銀杏)は葉の形が違います。
イワイチョウ(岩銀杏)の葉は、丸っぽいハート形です。
葉がイチョウの葉に似ていることから、名前もつけられました。
イワイチョウ(岩銀杏)の花期は6月から8月で、花茎の先に5裂する白色の花を数個咲かせます。
花被片の中央には縦の襞があり、花縁はフリル状をしています。
葉は長さ3~10㎝の腎円形で基部は心形。
厚みがあり、光沢があります。
秋には黄色く紅葉します。
科・属名:ミツガシワ科・イワイチョウ属
別名:ミズイチョウ(水銀杏)
原産地:日本
花期:6~8月
草丈:20~40㎝
花言葉:「純潔」「多才な人」