「ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)」は、深山で神秘に咲く花。
春になると淡紅色の大輪の花を咲かせます。
日本産シャクナゲの中ではもっとも大きく、一番美しいとされています。
ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)の特徴や様子
「ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)」は、ツツジ科ツツジ属の常緑小高木。
ツクシシャクナゲの特徴
日本固有種。
本州の紀伊半島、四国南部、九州に分布し、深山の林中に生育するシャクナゲ。
花期は4月~6月。
花色は薄赤紫~白。
多くのシャクナゲは花冠が5裂し、雄しべが10本ですが、ツクシシャクナゲは、漏斗型の花冠が7裂し、雄しべが14本あります。
葉の裏面に枝状毛(褐色・オレンジ色に近い)が密生するため、葉の裏面全体が茶色に見えます。
樹高は4mになります。
幹は直立するか下部が曲がり、多く枝分かれする。
名前の由来:「シャクナゲ」は中国の「石楠花」を呉音読みした「シャクナンゲ」から転訛したもの。「ツクシ」は「筑紫」で、九州地方に広く分布していることから。
江戸時代には、オランダ商館の医師であるシーボルトが、日本特産の名花として『日本植物誌』に原色図を掲載して世界に紹介しています。
学名:Rhododendron japonoheptamerum var. japonoheptamerum
科・属名:ツツジ科ツツジ属
ツクシシャクナゲの様子
枝先に総状花序をつけて、多数の花をつけます。
花径4-6cmの漏斗状鐘形で7裂。
雄しべ14本、雌しべ1本。
蕾は紅。
濃い色の花を咲かせるツクシシャクナゲ。
ツクシシャクナゲの花は、個体差はありますが、咲き始めは濃く散る前は白っぽくなるようです。
枯れた様子。
ツクシシャクナゲは、葉の裏が茶色でビロード状なのも特徴的。
葉質は厚い革質でやや堅い。
葉身は 長さ 8~15cm、幅1.5~5cmの倒披針形~長楕円形。
やや輪生状に互生。
表面は深緑色で光沢があり、裏面は茶色の綿毛が密生するため、葉の裏面全体が茶色に見えます。
山で見かけた、大きなツクシシャクナゲの木。
枝分かれしてたくさんの花を咲かせてます。
曲がった幹の様子。
ツクシシャクナゲは、優しい色合いで、花弁のヘリがフリル状に波打っています。
山に咲くツクシシャクナゲは、本当に美しいです。
シャクナゲには「山の女王」という異名があるのも納得です。
ツクシシャクナゲの変種として、「ホンシャクナゲ」というのがあります。
ツクシシャクナゲと同じく、7弁7裂・14雄しべを持つ美しい淡紅色の花を咲かせますが、葉裏は灰褐色で毛が少ないので区別ができます。
ツクシシャクナゲの群生地
ツクシシャクナゲの群生地では、「犬ヶ岳」と「多良岳」の2ヵ所が国の天然記念物に指定されています。
- 「犬ヶ岳ツクシシャクナゲ自生地」
福岡県豊前市と大分県中津市にまたがる犬ヶ岳。標高1131m。
約33万本のツクシシャクナゲが自生しており、笈吊岩から犬ヶ岳山頂の尾根づたいに数キロメートルにわたって淡いピンク色の花のトンネルが続く。
- 「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」
長崎県諫早市高来町。
多良岳山域の中腹から山頂にかけてツクシシャクナゲが群生しています。