ガクアジサイの花は、中心部分に細かい粒のような「真花(しんか)」があり、その周囲をガク片が変化した装飾花(そうしょくか)が囲むように並んでいます。
とても小さいですが、真花は両性花なので、ガク、雄しべ、雌しべ、花弁がそろっています。
種類によっても異なる個性的な花々が、開花していく様子は美しく面白いです。
目次
ガクアジサイの特徴・花のつくりや様子
梅雨時期に見頃を迎えるガクアジサイ。
ガクアジサイの特徴
ガクアジサイ(額紫陽花)は、ユキノシタ科・アジサイ属に分類される落葉性の低木。
関東・中部地方の海岸地域に自生するため、ハマアジサイという別名もあります。
またガクアジサイが、よく見かける手まり咲きのアジサイの原種と考えられています。
花期は5~7月。
枝先に径10~20cmの集散状の花序を出します。
花序は中心部には種子のできる真花(両性花)、周辺部には装飾花があります。
装飾花は飾り花でガク片です。
生殖機能はなく、花粉を運んでくれる虫を誘う役割を担っています。
(ガク片とは、一般的にガク(萼)と呼ばれる部分の葉が変形したもの)。
名前の由来は、花の周りの装飾花の部分が額縁に見えることから名付けられたようです。
アジサイの名前は、真の藍色の花が集まるという意味で、「集(あず)+真(さ)+藍(あい)」が変化したものとされます。
科・属名: ユキノシタ科(アジサイ科)・アジサイ属
原産地: 日本
別名:ハマアジサイ(浜紫陽花)、イオウトウアジサイ
開花期 :5~7月
花の色 :青紫、紫、白、ピンク
花言葉:謙虚
ガクアジサイの真花(両性花)と装飾花
ガクアジサイの花は、中心部に「真花(両性花)」が密集。
その周りを額縁のようにガク片の「装飾花」が並んでいます。
- 真花(両性花):花径1cm程。
雄しべと雌しべがある両性花。 - 装飾花:花径が4~5cm。
装飾花の真ん中にも非常に小さな花がありますが、雌しべが退化している雄花で実を結びません。
ガクアジサイの真花(両性花)の構造
ガクアジサイの真花は、品種によって花弁や雄しべの数が多少異なるようです。
花弁は4~6枚 雄しべは8〜12本。
雌しべは1本ですが柱頭が2〜4つに分かれています。
咲き始めの様子。
次々に開花していきます。
ガクアジサイの真花(両性花)の様子
真花が蕾の状態。
丸い粒々で愛らしいです。
真花は、ガクアジサイの品種によって色がさまざまで、装飾花の色とも関係がないようです。
蕾の中から一輪だけ開花しています。
開き始めた真花。
白い花が咲いていました。
青花の真花は満開。開ききった様子。
装飾花は白。
真花はブルー系です。
装飾花は白。
真花はピンクー系です。
ボリュームがある八重咲のガクアジサイの真花は、装飾花の色とほぼ同じ色。
可愛いガクアジサイをみつけました。
クレヨンで書いたようなピンクの装飾花。
真花は赤紫でとても愛らしいです。
伊豆大島で発見されたガクアジサイ「大島緑花」。
装飾花が白筋が入る黄緑色の珍しいアジサイ。
色合いが美しい真花をつけます。
たくさん開花すると宝石箱のようです。
シャープな萼片が八重に重なる「ダンスパーティー」。
花序が大きめ、たくさんの真花をつけてました。
色とりどりのお花畑のようです。
こちらのガクアジサイは、真花の花弁はピンク色ですが、雄しべがブルーで愛らしい色合い。
ガクアジサイの真花は、小さな星のような花を咲かせます。
品種によっても色や形が違うのも面白いです。
アジサイの花は、装飾花に目が行きがちで、真花は地味で目立たない存在のようですが、観察してみると神秘の世界が広がっているようです。
枯れた真花(両性花)の様子。
花後は実をつけます。
卵形~楕円形の朔果で柱頭が残ります。
種子は非常に小さい楕円形。
手まり咲きのアジサイの真花(両性花)
花全体が装飾花に覆われる「手まり咲きのアジサイ」。
実は装飾花が真花を覆うように集まっています。
装飾花をかき分けると、小さな真花が根元に見つかります。
気象庁が出すアジサイの開花予報では、標準木の「真花」が2〜3輪咲いた時を開花日というそうです。