アヤメとハナショウブ(花菖蒲)の違いは何?

紫色のショウブの花
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アヤメとハナショウブはどちらもアヤメ科アヤメ属の宿根草で、見た目がよく似ているため間違えられがちですが、花びらの付け根に独特の網目模様があるのがアヤメです。ショウブには黄色い筋のようなものがついています。

よく見ると葉の形も異なり、花期や好む生育場所にも違いがあります。

またハナショウブ(花菖蒲)とショウブ(菖蒲)も別の植物で、ショウブ科ショウブ属(古くはサトイモ科)に属し、花の形がまったく違います。

アヤメとハナショウブの違い 見分け方

アヤメとハナショウブ、見頃を迎えてる様子

ゴールデンウイーク頃、夏の気配が漂い始める頃に見かけたアヤメ。
梅雨に入る時期に見頃を迎えるハナショウブ。

 

アヤメとハナショウブの咲く時期の違い。

  • アヤメの開花時期:5月上旬〜中旬。
  • ハナショウブの開花時期:5月下旬~7月中旬。

 

アヤメとハナショウブの生育場所の違い。

  • アヤメ:低山から高原の明るい草原に見られる植物。
    乾燥したところを好みます。
  • ハナショウブ:湿り気のあるところを好みますが、極端に乾燥しないところであれば、あまり場所を選びません。(菖蒲園などでは、修景効果のために開花期に水を張っていることが多い)。

 

アヤメとハナショウブの花の違い

アヤメとハナショウブの花の比較写真

花弁のつけ根で見分けが出来ます。

  • アヤメ:小輪種。約8〜10㎝。
    紫、まれに白。
    弁元に網目模様。
  • ハナショウブ:大輪種(野生種は小)約10㎝~30㎝。
    紫、紅紫、ピンク、白、絞り、砂子、他。
    弁元に黄色い筋。

 

アヤメとハナショウブの葉の違い

アヤメとハナショウブの葉の比較写真

どちらの葉も線形剣状で直立しています。
アヤメの葉面は平らですが、ハナショウブは隆起した葉脈があります。

  • アヤメ:葉は細めで、葉脈は目立たない。
    幅1㎝前後。長さ30~50cm程度。
  • ハナショウブ:幅は中くらいで、葉脈が鮮明。
    幅は1~2.5cm。長さ30~60cm程度。

 

アヤメの特徴や様子

群生しているアヤメの様子

アヤメ(菖蒲、文目、綾目)は、日本〜東アジア原産のアヤメ科アヤメ属の多年草。低山や高原などの草地で自生する日本古来の植物です。

葉は地際から多数生じて直立します。
花茎は分枝せず直立し、その先端に紫色、まれに白色の花を1~3個咲かせます。
花は1日でしぼみます。

名前の由来は、花弁の元に網(あや)の目があるので、その形にちなむことからや、葉が、縦に並んでいる様が文目(あやめ)模様のように見えることからなど諸説あります。

学名:Iris sanguinea
科・属名:アヤメ科 ・アヤメ属
原産地:日本、東アジア
別名:かっこう花
花言葉:「よい便り」「朗報」「メッセージ」「希望」

 

アヤメの花のアップ写真

花形は主に三英花(外側の大きな花弁が3枚)。

花弁が6枚あるように見えますが、その内3枚は外花被片(萼)です。
外花被片は青紫地で、基部に黄色と白の網目模様が入るのが特徴です。
内花被片(花)は短く上に立ち上がります。

アヤメの花、上から見た様子

上から見た様子。

 

ショウブの特徴や様子

色とりどりの花菖蒲が咲いてる様子

ハナショウブ(花菖蒲)はノハナショウブ(野花菖蒲)の園芸品種で、アヤメ科アヤメ属の多年草。
白、青、ピンク、黄色など色とりどりの花を咲かせます。

江戸時代を中心に数多くの品種が育成され、現在2000以上あるといわれ、色や形はバリエーションに富んでいます。

アヤメより葉幅が広い線形剣状の葉を茂らします。
花期になると、直立した花茎の先端から花穂を伸ばし、大型の花を咲かせます。
ひとつの茎に2〜3輪ほどの花。
ひとつの花の寿命は3日間ほどです。

名前の由来は、ノハナショウブを改良した園芸品種なので、ノハナショウブから「ノ(野)」を外した名前とされます。

学名:Iris ensata var. ensata
科・属名:アヤメ科 ・アヤメ属
原産地:日本、朝鮮半島~東シベリア
別名:ハナアヤメ、ギョクセンカ(玉蝉花)
花言葉:「優しい心」「心意気」

紫のハナショウブ、アップ写真

ショウブの花は、ノハナショウブをそのまま大きくしたような「三英花」、外花被と同様に内花被も大きく発達した、6枚の花被構成となっている「六英花」や「八重咲き」が基本です。
他にも爪咲き、玉咲き、奇数花も見られます。

垂れ咲きの六英花のハナショウブの花

垂れ咲きの六英花。

三英花、色合いが美しいハナショウブの花

色合いが綺麗なシンプルな花型のハナショウブ。
三英花。

赤紫色の筋がきれいなハナショウブの花

赤紫色の筋がきれいなハナショウブ。
花弁が大きく豊満でボリューム感のある花。

白いハナショウブ。
弁元は黄色。

ショウブとハナショウブの違い

ショウブの花穂の写真

一般的には単にショウブといった場合もショウブ科(旧サイトモ科)のショウブ(菖蒲)ではなくハナショウブ(花菖蒲)を指すことがほとんどで、ショウブとハナショウブも混同しがちです。

端午の節句などで「菖蒲湯(しょうぶゆ)」に用いられるショウブは、サトイモ科の植物で別種です。

 

ショウブの特徴

ショウブ(菖蒲)は、池沼やため池など水辺に群生する高さ50~120cmほどの抽水性多年草。

初夏に4~8cmほどの楕円形の花穂(肉穂花序)をだし、淡い黄緑色の小さな両性花を密生して咲かせます。

葉はつやがあり、香りが強いのが特徴です。
(ハナショウブには、そのような香りはありません)。

菖蒲の芳香はとても爽やかです。
古代から香料として用いられ、また薬草としても利用されています。

学名:Acorus calamus L.
科・属名:ショウブ科・ショウブ属
原産地:日本、ユーラシア大陸
別名:ノキアヤメ,アヤメグサ,オニゼキショウ、ギョクセンカ
花言葉:「勇気」「心意気」

 

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