ベニカナメモチとレッドロビンは、春の新芽の赤色が鮮やかな樹木で、垣根用樹としてよく用いられています。
「ベニカナメモチ」は、カナメモチの変種で、カナメモチよりも長い間、若葉が赤色を保ちます。
「レッドロビン」は、カナメモチとオオカナメモチの交雑種で、「セイヨウカナメ」の名でも流通しています。
葉色が鮮やかで丈夫なことから、現在ではレッドロビンが生け垣の素材として主流になっているようです。
ベニカナメモチとレッドロビンの違い
「ベニカナメモチ」と「レッドロビン」は春先に葉が紅葉し、冬に緑色となる一風変ったバラ科カナメモチ属の常緑広葉木小高木。
花期は5月頃で、枝先の散房状花序に白い小花を多数つけます。
ベニカナメモチに比べると、レッドロビンの方がより新芽の赤がより濃く、葉は大きくて柔らかい。萌芽力も強く生育おう盛です。
また、葉柄に鋸歯の痕が見られるのがカナメモチ、見られないのがレッド・ロビンという点で区別できます。
※ 生け垣や路側帯などに植栽されてるものの多くは「レッドロビン」。
日本の在来種のベニカナメは、新芽の紅色が鮮やかで垣根用樹として長く親しまれてきましたが、性質が弱く病気が広がったこともあって、次第にすたれていったようです。それに代わって普及しているのが、海外から導入された洋種のベニカナメのレッドロビンで、成長が早く病気に強いのが特徴です。
- ベニカナメモチ(紅要黐)
別名:ベニカナメ
学名:Photinia glabra f. benikaname
日本在来種。
カナメモチの変種。
- レッドロビン
別名:セイヨウカナメモチ(西洋要黐)
学名:Photinia × fraseri Dress(Photinia × fraseri ‘Red Robin’)
ニュージーランドで作出。
ベニカナメモチとオオカナメモチとの交雑の園芸種。
ベニカナメモチの特徴
東海地方以西から四国・九州など、日本の比較的暖かい地域や中国に分布する常緑性の小高木。
ベニカナメモチ(紅要黐)は、カナメモチ(要黐)の実生変異種で、カナメモチよりも長い間若葉が紅色を保ちます。
別名:ベニカナメ、アカメモチ。
カナメモチより枝の伸びは弱く葉も小型。
カナメモチ自体も新芽は赤いですが、ベニカナメモチは若葉以外にも赤みを残したままの葉があります。
名前にモチの名がついてますが、モチノキ科モチノキ属のモチノキとはまったく違うものです。
名前の由来は、材質が堅く扇の要として用いられ、モチノキ(黐)に似ていることからつけられ、カナメモチ(要黐)の中で、新葉がより鮮やかな紅色のことから。
ベニカナメモチの様子
4月の新芽の様子。
濃い紅色がとても鮮やかです。
縁に細かいギザギザ(鋸歯)のある細長い新葉。
赤い若葉は固くなり、緑色に変わっていきます。
葉は単葉で互生。
光沢のある皮質。
葉身は長さ6~10cmの長楕円形〜倒卵状楕円。
葉身は先端が尖り、葉縁に細かい鋸歯があります。
若葉以外の葉も赤味を残します。
幹の様子。
レッドロビンの特徴
レッドロビンは、カナメモチの園芸品種。
カナメモチ(要黐) とオオカナメモチ (大要黐) を交配させたものです。
海外から導入された洋種の紅カナメで、ニュージーランドで作出されました。
「レッドロビン(Red Robin)」は赤いコマドリのこと。
成長が早く生育旺盛、刈り込みに強いので生垣に多用されています。
新芽の赤い葉は、時間が経つと葉緑素が葉の隅々に行き渡り、緑の葉に変わっていきます。
レッドロビンの様子
春になると艶がある発色のよい赤葉を茂らします。
春の新芽はとてもきれいです。
互生する単葉で、光沢のある皮質。
葉身は長さ8cm~16cmの長楕円形~倒卵状楕円形。
葉身は先端が尖り、葉縁に細かい鋸歯があります。
葉は成長するにつれ、緑の葉に変ってきます。
葉緑素が持つ緑色が次第に強くなる。
花期は5月頃。
直径約10㎝の複散房花序に白色の花を多数つけます。
花は直径7~8㎜。
花弁は5枚。
花弁が丸い可愛い小花。
雌しべ1本。
雄しべが多数(20個)。
花の時期になると、緑の葉も多くみられます。
鮮やかだった赤葉はくすんだ赤色になりますが、緑の葉のコントラストもきれいです。