ビワ(枇杷)は、11~2月頃の寒い季節に、茶色の綿毛におおわれた小さい白い花を咲かせます。
地味な花で華やかさはありませんが、冬空に風情を感じさせてくれる花で、近寄ると甘いよい香りが漂います。
花後につけた実は、長い時間をかけて初夏にオレンジ色に熟します。
ビワ(枇杷)の花の特徴や様子
暖かそうな綿毛で密に覆われるビワの花。
ビワ(枇杷)の特徴
ビワ(枇杷)は、中国原産のバラ科ビワ属の常緑樹。
日本へは奈良時代ないし平安時代に渡来したと考えられています。
比較的温暖な本州西部や九州などに広く分布しています。
高さ10メートルにも達する常緑高木。
葉は深緑色で固く分厚い。長さ15~20㎝の広倒披針形。
花は晩秋から冬にかけて開花し、直径約1㎝の白色、5弁花。
果実は直径3~4㎝の広惰円形。大きな種子が1~2個入ります。
名前の由来は、果実の形、または大きな葉の形が楽器の琵琶に似ているからといわれています。
学名:Eriobotrya japonica
科・属名:バラ科・ビワ属
原産地:中国
別名:ロツキ(蘆橘)
花期:11~2月
樹高:3~10m
花言葉:「温和」「治癒」「あなたに打ち明ける」「密かな告白」など。
ビワ(枇杷)の花はいつ咲くの?
ビワは、深緑色のごわごわした大きな葉の枝先に、褐色に覆われた太い花軸をだし、やや黄色を帯びた白色の小花を多数咲かせます。
花期は11月中旬から翌年2月の長期間にわたって開花します。
個々の開花をずらすことで、寒害による全滅を防いでいるともいわれます。
1花序あたりの花数は普通60~70。ときには200以上になります。
花芽が付き始めるのは6月頃。
春に伸びだした太く短い新梢( 新しく伸び出た枝)につき、7~8月に分化します。
秋に花房をつけ、順次開花します。
受精した花は、冬の間にゆっくりと幼果になり春から肥大し始めます。
実の収穫は5~6月。
ビワ(枇杷)の花 蕾〜開花の様子 葉や幹の様子
ビワの花序は全体が褐色の毛に覆われたビロード状。
枝先に、円錐花序。
一本の枝先に左右何段にも花がついてます。
実を食用にする場合は、全部結実させると、果実が大きくならないので、11月頃に蕾の数を減らす(間引く)摘蕾を行います。
蕾の様子。
咲き始める花。
先端のガクを破って白い花弁が見えるようになってから10~15日で開花します。
直径約1㎝の白色、5弁花。
花弁の基部内側や萼には褐色の毛が密生してます。
雄しべは約20本。
雌しべは子房下位で2~5心室に分かれます。
萼は5裂し、淡褐色の綿毛につつまれています。
ビワの花からはとてもよい匂いが漂います。
甘く芳醇な香りがします。
芳香の花には蜜を求めてやってくる、メジロの姿をよく見かけます。
ビワは鳥媒花で、鳥が花粉を運びます。
枯れ始めた花。
開花後4~5日で花弁が落ちます。
花後の様子。
花弁が落ちたすぐ後はガクが開いた状態ですが、しだいにガクの先はすぼまります。
果実は冬の間は寒さのため大きくならず、3月中ごろから大きくなります。
果実は黄橙色。
直径3~4㎝の広惰円形、大きな種子が1~2個。
幼果期に気温が-3℃以下の低温にあたると、冷害を受けて実りにくなります。
最低気温が-2℃以下になる地域での栽培は無理がありそうです。
葉の様子。
ビワの葉は冬でも青々としています。
葉は厚く、独特のシワ模様があり、触れるとゴワゴワします。
葉は互生し、厚く、長さ15~20㎝の広倒披針形。
基部はしだいに細くなり、葉脈が深く裏面に隆起します。
葉表は濃緑色、無毛、光沢があります。
葉裏には褐色の毛が密生し、白っぽく見えます。
ビワの葉を陰干しにしたものには、咳を鎮めたり、痰を除いたり、胃を丈夫にしたり、体の余分な水分を排泄したりする作用があり、古くから薬用に用いられています。
民間療法では、お茶や温灸や湿布としても使われています。
幹の様子。
樹皮は茶色がかった灰色でシワ模様が入ります。
材は硬くて耐久性があり、木刀や杖、櫛、印鑑などに使われてます。