「ラン(蘭)」はラン科(Orchidaceae)植物の総称です。
ラン科ではない植物にも、「~ラン」と名付けられいる植物もよく見られます。
ちょっと紛らわしいですね。
目次
ラン科の植物ではないけど、ランの名前がついてる植物
ラン(蘭)とは、ラン科に分類される植物の総称で、東南アジアを中心に、世界中の熱帯から亜熱帯にかけて分布しています。
ラン科の植物は、原種の数だけでも知られているだけで2万種を超えるとても種類多い植物です。
数多くの園芸品種も作り出されています。
豪華な印象をもつ洋ランの、「カトレア」、「コチョウラン(胡蝶蘭)」、「デンドロビウム」、「デンファレ」などは、明治時代以降に国外から持ち込まれました。
「シュンラン(春蘭)」、「カンラン(寒蘭」は、日本や中国を原産地とする東洋ランで、古くから親しまれています。
庭先などで咲いてる赤紫色の「シラン(紫蘭)」、雑草のように咲いている「ネジバナ」、湿地に自生する「サギソウ(鷺草)」もラン科の植物です。
ラン(蘭)の花の多くは、花びらは左右対称で、中央に唇弁(リップ)があり、独特の形をしています。
ラン科の植物ではなくても、「~ラン」と呼ばれる植物も多くあります。
姿かたちがランに似ているだけでなく、その花や姿の美しさや、珍しい植物に「蘭(ラン)」と名が付けていたようないきさつがあるようです。
スズラン(鈴蘭)
「スズラン(鈴蘭)」は、キジカクシ科 ・ スズラン属の多年草。
春の訪れを知らせる花、清楚な雰囲気をまとう小さなベル形の白い花が魅力的です。
スズランの「ラン」は、葉や花が蘭と似ていることから、安易につけられたもののようです。
開花時期は春~初夏。
葉の間から真直ぐのびる細い花茎に、1cmに満たない鈴のような壺型の花を、下向きに10個ほど咲かせます。
日本に自生するスズランは、本州北部から北海道にかけて見られ、君影草(きみかげそう)という別名があります。
観賞用に栽培されているものの多くは「ドイツスズラン」で、日本に野生するスズランと比べると大型で、花の香りが強いのが特徴です。
学名:Convallaria keiskei(スズラン)
Convallaria majalis(ドイツスズラン)
科・属名:キジカクシ科 ・ スズラン属
別名:キミカゲソウ(君影草)、タニマノヒメユリ(谷間の姫百合)
原産地: ヨーロッパ、アジア
花言葉:「再び幸せが訪れる」「純粋」
クンシラン(君子蘭)
「クンシラン(君子蘭)」は、ヒガンバナ科 ・ クンシラン属の常緑多年草。
鮮やかな豪華な花だけでなく、濃緑色の葉が美しく観葉植物としても楽しめる古典園芸植物です。
開花時期は3月~5月。
株の中心から長い花茎を伸ばし、その先にラッパのような形の花をいくつもまとめて咲かせます。葉は株元から光沢のある細長い厚みのある葉を左右交互に出します。
オレンジ花のクリビア・ミニアタ(ウケザキクンシラン)が一般的ですが、コンパクトにまとまるダルマ系や黄花、葉に白色や淡黄色の斑が入るものもあります。
学名: Clivia miniata
科名・属名: ヒガンバナ科 ・ クンシラン属
別名:クリビア
原産地: 南アフリカ
花言葉:「高貴」「誠実」「情け深い」「望みを得る」
マツバラン(松葉蘭)
「マツバラン(松葉蘭)」は、マツバラン科 ・マツバラン属の常緑性多年草。
山地で木の幹や岩肌にくっつくようにして育つシダ植物です。
茎が枝分かれしてホウキのような姿になる希少種。
「生きている化石」と呼ばれ、原始の姿のまま何億年前と生き続けている古典園芸植物です。
地上部は茎のみで、花は咲かず、根も葉も持ちません。
光合成する代わりに共生する菌から栄養をもらって成長し、土の中には長くのびる地下茎があります。
胞子が拡散することで増えていきます。
学名: Psilotum nudum
科名・属名: マツバラン科・マツバラン属
別名:ホウキラン(箒欄)
原産地: 日本では本州中部から以南に、海外では世界の熱帯に分布
ユッカラン(ユッカ蘭)・アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)
「ユッカラン(ユッカ欄)」は、キジカクシカ科・イトラン属(ユッカ属)の常緑低木。
ユッカの名前はこの属の総称です。
一般に植えられているのは「アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)」、「キミガヨラン(君が代蘭)」、「イトラン(糸蘭)」で、いずれも長い花茎を伸ばして、白い花がたくさん咲きます。
開花時期は春の5~6月、秋の10~11月。
芳香がある直径5~6cmの鈴のような形をした花を下向きに咲かせます。
葉は細長く、鋭利な刀のような葉が多数集合して放射状に広がってます。
大型の多肉植物で通年鑑賞することができます。
学名: Yucca gloriosa
科名・属名: キジカクシ科・イトラン属
別名:
原産地:北アメリカ
花言葉:「勇壮」「偉大」
リュウゼツラン(竜舌蘭)
「リュウゼツラン(竜舌蘭)」は、リュウゼツラン科・リュウゼツラン属の常緑多年草。
アメリカ西南部やメキシコが原産地で、数十年という長い年月をかけて開花する珍しさから、センチュリープラントとも呼ばれています。
お酒のテキーラの原料としても知られています。
葉の間から太い茎をながく伸ばし、その先端に筒のような形をした黄や黄緑の花を咲かせます。
葉は肉厚で葉の先の針、縁ののこぎり状のとげがあります。
学名: Agave americana
科名・属名: リュウゼツラン科・リュウゼツラン属
別名:アガヴェ、マンネンラン(万年欄)、ヒャクネンソウ(百年草)
原産地:アメリカ西南部、メキシコ
花言葉:「繊細」
ノシラン(熨斗蘭)
「ノシラン(熨斗欄)」は、ユリ(キジカクシ)科・ジャノヒゲ属の常緑性多年草。
日当たりのよくないところでもよく育つので、グランドカバー、和風庭園の下草として広く利用されています。
開花時期は7~9月。
葉の間から花茎を斜め上向きに長く伸ばして、その先端に真っ白い小さな花を穂状にたくさん咲かせます。
葉は長さ50cmほどの細長い葉で、湾曲しながら下向きの伸びます。
花後にできる果実は球状にふくらんで、熟すと美しいコバルトブルーになります。
葉に白や黄色いストライプ模様が入る品種もあります。
学名:Ophiopogon jaburan
科・属名:ユリ(キジカクシ)・ジャノヒゲ属
原産地:日本、韓国
開花時期:7~9月
ヤブラン(藪蘭)
「ヤブラン(藪蘭)」は、キジカクシ科(ユリ科) ・ ヤブラン属(リリオペ属)の常緑性多年草。
常緑のグラウンドカバーの定番で、葉は濃いグリーンのものから、白やクリーム色の斑入りなど、幅1センチほどの細長い葉を地際から放射線状に茂らします。
開花時期は夏~秋。
葉の間から伸びた花茎の先端に、あかるい薄紫色の小花を穂状につけます。
花後には黒くて丸いむき出しになった種子がつきます。
白い花をつけるものは、「シロバナヤブラン(白花薮蘭)」。
学名:Liriope muscari
科・属名:キジカクシ科(ユリ科) ・ ヤブラン属(リリオペ属)
別名:リリオペ、ヤマスゲ(山菅)
原産地:日本、東アジア
花言葉:「謙遜」「忍耐」
ハゼラン(爆蘭)
「ハゼラン(爆蘭)」はハゼラン科(スベリヒユ科)・ハゼラン属の多年草。
花が午後の3時頃から開花するため、三時草(サンジソウ)とも呼ばれます。
鑑賞用として導入されましたが、現在は多く野生化しており空き地や道端でよく見かけます。
開花期は、8月~10月。
高さ30cmほどの茎の先に円錐花序を出し、径3mmほどのピンクの小さな花を無数に咲かせます。
円錐形のつぼみや丸い実の状態で見かけることが多く、線香花火を連想させ、「花火草(ハナビグサ)」の別名もあります。
葉はやや多肉で楕円形。
学名:Talinum paniculatum
科・属名:ハゼラン科(スベリヒユ科)・ハゼラン属
別名:サンジソウ(三時草)、ハナビグサ(花火草)
原産地:南アメリカ
花言葉:「真心」「永遠にあなたのもの」
オリズルラン(折鶴蘭)
「オリヅルラン(折鶴蘭)」はキジカクシ科 ・ オリヅルラン属の常緑性多年草。
鉢植え、吊鉢などにして気軽に楽しめる観葉植物です。
ランナーと呼ばれる細長い茎の先に子株をつける姿が、折り鶴に似ていることからこの名前がついてます。
開花時期は春~夏。
ランナーの先に小さい白い花を5つ〜6つ程付けます。
葉は細長く放射線状に広がります。
園芸品種として流通している種は、斑入りの葉が特徴的ですが、外斑の「ソトフオリヅルラン」と、中斑の「ナカフヒロハオリズルラン」、他には葉が柔らかい「シャムオリヅルラン」や葉が内側にカールしている「ボニー」などがあります。
学名:Chlorophytum comosum
科・属名:キジカクシ科 ・ オリヅルラン属
別名:チョウラン(蝶蘭)
原産地:南アフリカとインドを中心とした熱帯
花言葉:「集う祝福」「子孫繁栄」「祝賀」
ハラン(葉蘭)
「ハラン(葉蘭)」は、キジカクシ科・ハラン属の常緑性多年草。
古名をバラン(馬蘭)といい、蘭のような形の葉で大きいことから名付けられています。
葉には殺菌作用があるので、料理の仕切りなどに添えられることがあります。
開花時期は3〜5月。
株元に小さな紫色の花を付けますが、巨大な葉に隠れて目立たず、気づかれないことも多いようです。
伝統的な園芸品種ですが、花を楽しむというより葉姿を楽しむ植物のようです。
古く江戸時代に発展し、改良された伝統園芸植物で、縞斑、中斑、曙斑、星斑など多くの品種があります。
また、「ハラン」の名がつく植物として、「アリサンヒメバラン(阿里山姫葉蘭)」、「ダイブハラン」、「ムシャハラン」などがあります。
学名:Aspidistra elatior
科・属名:キジカクシ科 ・ハラン属
別名:バラン(馬蘭)
原産地:日本
花言葉:「強い心」「強い意志」「平癒」
コウモリラン(ビガクシダ)
「コウモリラン(ビガクシダ)」は、ウラボシ科・ビカクシダ属に分類される樹木や岩などに着生する着生シダ植物。
熱帯・亜熱帯地域に分布しています。
現地では樹や岩にくっつき、夜露を吸って生長します。
鉢や苔玉に付着したコウモリランをワイヤーでハンギングした飾り方が人気です。
コウモリランは株元に張りつくように出た「貯水葉」と、長く伸びて葉先に切れ込みが入って、鹿の角のような形をしている「胞子葉」という2種の葉を持っています。
鹿の角=ビカクに似ているということから、和名でビカクシダという名前がついています。
花は咲きません。
学名:Platycerium
科・属名:ウラボシ科・ビカクシダ属
別名:
原産地:アフリカ、アジア、オーストラリアなどの熱帯地域
花言葉:「信頼」「助け合う」「魔法」