海辺近い草むらや岩場で雑草のように生い茂る「ツルソバ(蔓蕎麦)」は、人知れず気になる植物。
ツルソバは、夏になるとポツポツ白い花を咲かせ、秋から冬になると一面に小さな花を咲かせ、花後は藍色から黒っぽいゼリー状に包まれた実つけます。
目次
ツルソバ(蔓蕎麦)の特徴、花・実の様子
本州(伊豆七島、紀伊半島)、四国、九州、沖縄に分布するタデ科イヌタデ属の常緑多年草植物。
ツルソバ(蔓蕎麦)の特徴
暖かい地域の海岸近くなどでよく見らる植物。
茎はつる状で長く伸び 枝分かれしながら地を這ったり 他の植物に絡み付いて広がっていきます。
つる植物で白い花が「ソバ(蕎麦)」の花に似ていることから、「ツルソバ(蔓蕎麦)」と名がついてるようです。
ちなみにソバ(蕎麦)は、種子が黒色で3稜があり(三角卵型で突起状)、この稜(岨)からソバという名がついたといわれます。
ツルソバの種子もソバと同じく黒色で3稜形です。
食することも出来て、葉や茎をゆでてあえ物にしてたり、天ぷらなども美味しい。
種子をヤマベントウと称して食べるとこもあるようです。
沖縄では、この実が牛(ウシヌ)の目(ミンタマー)に似ているので、イシヌミンタマーと呼ばれるそうです。
科・属名:ダテ科・ダテ属
原産地:東アジア
草丈:1m~2m
開花期:5月~1月
花言葉:「いつもそこに」
ツルソバ(蔓蕎麦)の花の様子
花は枝先に数個が頭状につきます。
花径は0.3〜0.5 cmほどの小さい白花。花は5つに裂けています。
厳密には花ではなく5枚の萼。
葉形は卵形〜長卵形で先が尖り互生する。(長さ5~10cm、幅3~6cm)
茎は赤っぽくなっています。
雄しべ8本、葯色は青。
雌しべ1本、花柱は先が3裂。
花後は肥厚した萼片で種子を包み込んでいきます。
海岸近くの岩場に張り付くように生育しているツルソバ(蔓蕎麦)。
オブジェのようで綺麗でした。
民家の石垣でみかけたツルソバ(蔓蕎麦)
ツルソバ(蔓蕎麦)の実の様子
果実は直径約3mm程の痩果。
ゼリー状の半透明な膜につつまれています。
種子は花後に萼片が肥厚した果肉の中。
秋の終わりには、花と実両方つけているものも見ることができます。
黄色い小菊と青みがかった黒っぽいツルソバの実のコントラストが、秋らしくてなんとも素敵でした。
ソバ(蕎麦)の様子
「ソバ(蕎麦)」は、タデ科・ソバ属に分類される一年草。
草丈は60~130cmほどで、茎先に直径6mmほどの白やピンクの小さな花をたくさん付けます。
「アカソバ (赤蕎麦)」は、ネパール原産種を品種改良したものだそうです。
タカネルビー(高嶺ルビー)、ベニバナソバ(紅花蕎麦)と呼ばれる品種。
秋の終わりに見かけた蕎麦の実(果実)。
ヒメツルソバ(姫蔓蕎麦)の様子
「ヒメツルソバ(姫蔓蕎麦)」は、は、タデ科・ソバ属に分類される多年草。
金平糖のような形の小さなピンクの花(直径1cmほど)をたくさん咲かせます。
インド北部からヒマラヤ辺りが原産地で、ロックガーデン用植物として導入されました。
繁殖力が旺盛な植物ではびこる植物、路地や生垣などでもよく見かけます。
晩秋になると葉は赤く色付き、美しく紅葉します。
ツルソバ(蔓蕎麦)に比べて、花や葉が小形のためヒメツルソバ(姫蔓蕎麦)と名がつけられたようですが、全体の雰囲気はあまり似ていないようにも思えます。