蓮(ハス)は、水辺に生息するハス科の多年生の植物で、夏になると水上に花茎を伸ばし、大きな美しい花を咲かせます。
花が咲いた後の様子もとてもユニークで、興味深いです。
ハスは満開を過ぎると、パラパラと花弁を落とし、シャワーのような形の緑色の花托(かたく)を残します。
花托は少しずつ肥大化し、その中に実をつけます。
種子の入る穴が「ハチの巣」に似ていることから、ハチス(ハスの古名)、そしてハスの語源となったといわれています。
目次
蓮(ハス)の蕾・花・花後~実・種ができるまでの様子
ハスは、水底の土中に塊茎、いわゆる蓮根(れんこん)をつくり、そこから葉と花茎を水面から1~2mほど伸ばします。
水面上に出る葉は直径30~50cmほどの大きさで、葉は丸く中心が窪んでいます。
花は、直径20〜30cmの白や淡紅色の大きな花で、長い花柄を水面から葉より少し高い位置で咲かせます。
蓮(ハス)の蕾
ハスは春に浮葉が出始め、6月頃には蕾が水中から立ち上がります。
蕾はおおよそ20日ほどで開花します。
蓮(ハス)の開花
ハスの開花時期は6月~9月で、見頃は7月中旬〜8月中旬頃。
花は日の出と共にゆっくりと時間をかけて咲き始めます。
開花期間は短く、4日間ほど。
夜明けとともに開花し、昼には閉じてしまいます。
その開閉を繰り返し4日目には、夕方まで咲き続けて散っていきます。
八重咲のハス。
蓮(ハス)の花の散り始め
花弁が散るはじめたハスの花。
4日目には花弁を落とし、その後は黄色の雄しべも枯れておち、花托(かたく)だけが残ります。
蓮(ハス)の果実ができるまでの様子 花托(かたく)の変化
たくさんの実を包んだグリーンの花托(かたく)。
小さいポツポツは、雌しべの柱頭。
授粉した雌しべの子房は花托とともに大きくなりハスの実となります。
色づく花托(かたく)。
シャワーヘッドのよう。
円錐形の花托。
ハスの実は、中華や漢方薬に用いられています。
未熟なハスの実は柔らかく甘みがあるため、皮をむいて食べることもできます。
漢方薬では、蓮肉(れんにく)という生薬として使われ、鎮静、滋養強壮などに効用があるとされます。
時間と共に、表面には空気を吸うための通気口となる穴が目立ってきます。
ハスは根が水中にあるため、花托を通しても外から酸素を取り込んでいます。
この穴の中で、まるっこい緑色の実が育っています。
色づく果実。
花托の穴の中で育つハスの実は、緑色から茶色そして熟すと黒くなり、硬くなります。
花托の穴も大きくなり種がこぼれ落ちやすくなります。
ハスの果実は堅果(けんか)で、果皮が木木化してる堅い果実です。
長さ1~2㎝、幅0.7~1.5㎝の楕円形で、頂部に雌しべの柱頭が残っています。
実が硬く黒くなったものは、蓮のタネとして採取し、発芽させることが出来ます。
花托は茶色に変色していきやがて枯れます。
果実は放出され、蜂の巣状の穴のあいた花托。
果実か成熟すると花托は枯死。
基部から折れ曲がります。
蓮(ハス)の種まき
秋に採取した種は、1週間ほど陰干ししてから次の春まで保管します。
蓮の種は固く丈夫なので、年数が経ったものでも、育て始めることができます。
ただ蓮の種の発芽率は高くはありますが、全てが発芽するわけではないようです。
種まきの適期は4~5月頃。
発芽させるには、種に傷を付ける下処理が必要で、種の凹んでいるお尻の部分を、やすりなどで白い部分が見えるまで削ります。
発芽するまでは、水をはった容器に入れます。(4〜7日程で発芽)。
2週間ほど経つと葉が出て、根も伸びてくるので、ポットに植え替えます。
種から育てる場合、花を見るまでの期間は、最低1.5年から2年かかるようです。
- 栽培環境
日当りの良い場所。 - 土作り
水もちのよい粘土質の土が良いです。(荒木田土・田んぼの土がおすすめです)。
赤玉土(小粒)7:腐葉土3の土に苦土石灰を混ぜあわせたもの。 - 水やり
容器や鉢の水を、蒸発した分だけ継ぎ足してます。 - 肥料の与え方
植え付けるときに、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を土に混ぜ込みます。
その後は、4~9月の間、月に1回の割合で与えます。