秋風が冷たくなり始めたころに、鮮やかな黄色の花を咲かせるツワブキは、花が少ない季節に元気をあたえてくれる貴重な植物。
冬になるとタンポポのような綿毛をつけてる姿も風情があっていいものです。
ツワブキの綿毛ってどんなもの?
キク科・ツワブキ属の常緑多年草。
学名:Farfugium japonicum
別名:ツワ、イシブキ、イソブキ
ツワブキ 花から綿毛へ
晩秋から初冬にかけて咲く「ツワブキの花」。
ツワブキの頭花(頭状花)は、ふたつのタイプがある小花の集合花。
花の外側を取り巻く花びらのように見えるものは、舌状花(せつじょうか)で雌性花。中央に多数集まっている小花は、筒状花(つつじょうか)で両性花です。
その小さな花の一つ一つが、一般的には綿毛(わたげ)と呼ばれている冠毛(かんもう)を持った果実となります。
花が枯れると綿帽子。
タンポポのようなふわふわした「綿毛が付いた痩果(そうか)」がみられます。
ツワブキの花後は、タンポポなどと同様、種子上部の冠毛が広がっていわゆる「綿毛」となり、風に飛ばされることによって種子(痩果)が散布されます。
綿毛で風を受けて種を運ぶ(風散布)の植物。
ツワブキの綿毛 冠毛の様子
ツワブキの花後の様子。
花が終わると、写真の右側のように蕾のような状態へいったんもどり、種をつくる準備へと。
やがて総苞が裂け、綿毛が顔を覗かせます。
花を押し上げて種ができます。
開ききって成長した、綿毛(冠毛)が付いた痩果(そうか)の様子。
タンポポのよく似た球状の綿毛ですが、
ふわふわとしたタンポポの綿毛より色が濃く、重たい感じがします。
綿毛は放射線状に広がって、飛ぶのに適した構造になっていてます。
種子を遠くまで運び、成育する場所を広げるのに役立ちます。
飛散した綿毛。パラシュートのよう。
綿毛(冠毛)と種子(痩果)は一体化。
種子は円柱形で長さ6ミリほど。
綿毛=萼(ガク)が変化したものです。
『綿毛』
キク科植物などの痩果(そうか)の先端部に輪状に生じる毛状のもので、萼(がく)裂片の変形したものである。これで風を受け、パラシュートのようになって痩果は遠くまで飛んでいくことができる。出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
種子を飛ばした後のツワブキの花。
早春にみられるツワブキの様子。
春でも綿毛をたくさんつけてるツワブキも見かけました。
また「綿毛(わたげ)」は専門用語ではなく、「めんもう」と呼ぶそうです。
冠毛を一般的には綿毛(わたげ)とよんでいますが、わたげ(綿毛)は専門用語ではありません。綿毛という専門用語は、葉などの表面を覆う表皮の細胞が分化して、長く伸びだした毛を指します。この場合の綿毛は、「わたげ」ではなく「めんもう」と呼ぶそうです。引用:日本植物生理学会
タンポポの綿毛 冠毛の様子
タンポポ(蒲公英)もツワブキと同じくキク科の植物で、キク科には綿毛(冠毛)で飛ぶものが多くあります。
タンポポの花の期間は1週間前後で、その後に綿毛が作られ、風に乗って別の場所で芽吹きます。主な花期は3月~4月ごろ。
タンポポの花は黄色い小花の集合体。
筒状花(つつじょうか)はなく、舌弁花(せつじょうか)のみの花。
小さな風でも飛んで行きそうな、軽やかで繊細な綿毛(冠毛)をたくさんつけます。
タンポポの名前の由来は、諸説ありますが、
冠毛が丸く集まっている様子が、綿を丸めて布などで包んだ「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」と名がつけられたという一説があります。