九州は、「陶芸王国」と言われ歴史ある焼き物が多くある場所。
有名な焼き物の産地がたくさんあります。
春や秋になると「陶器市」や「陶器まつり」が各地で開催されます。
土地によっての趣きや違いが興味深くて、癖になってしまいそうなイベント。
それに、お気に入りの器に出逢った喜びはひとしお。
また、自然豊かな土地を散策するのも楽しいものです。
素敵な器を探しに、焼き物巡りへお出かけしませんか。
九州の焼き物めぐり、見所や陶器まつり
「やきもの」の始りは、縄文土器。
青森県大平山元で見いだされた土器は、1万6千5百年前のものと言われています。
磁器が日本で初めて作られたのは九州、1610年代に有田(佐賀県)石の泉山で、陶石が発見されたのが始まりとされています。
有田焼
(佐賀県有田町)
日本磁器発祥の地である有田町。
約400年前に器の原料となる陶石を発見されたのが、有田焼の始まりと言われています。
有田の磁器は17世紀後半には、国内はもとよりヨーロッパを主とした海外へも多く出荷されるようになりました。
高い強度で硬く、白く薄くて透き通るような白磁に華やかで繊細な絵付けが美しいのが特徴です。
まつり
毎年4月29日~5月5日には、日本三大陶器まつりの一つ「有田陶器市」が開催されます。
町内4kmの通りに約500の店が立ち並び100万人以上の人手で賑わいます。
イベントを楽しんだり、有田焼の器をお値打ち価格で購入出来ますよ。
毎年11月には、「秋の有田陶磁器まつり」が開催されます。
紅葉を楽しみながらゆっくり有田の町を散策できます。
春の訪れには、お雛様が町を彩る「有田雛(ひいな)のやきものまつり」が開催されます。
他にも焼物の町ならではの様々なイベントが開催されています。
みどころ
- 窯元やギャラリーがある『皿山通り』は、伝統的建物保存地区として指定されています。タイムスリップしたようなどこか懐かしい街並みです。約700mの直線の通りには、様々な窯元や窯元の本店があります。
- アリタセラ/Arita Será (旧 有田陶磁の里プラザ)は、有田焼のショッピングモールになっています。個性豊かな陶磁器を一度に見る事ができます。年中無休で営業されています。
- チャイナ・オン・ザ・パークは、深川製磁が運営するテーマパーク
深川製磁唯一の工場直営のアウトレットが購入出来る「瓷器倉(じきぐら)」があります。
伊万里焼
(佐賀県伊万里市)
江戸時代に鍋島藩御用窯でつくられた焼物を「鍋島」と呼び、大川内山に優秀な職人を集めて製陶にあたらせたのが伊万里焼のはじまりです。
陶技の秘法を漏らさないように、大川内山の入口に関所を設け人の出入りを厳しく規制していたそうですよ。
今でも三方を山に囲まれた大川内では30以上の窯元があります。
キメが細かくなめらかな手触り、透明感のある白磁に背景を活かすような色絵が特徴的です。また、青緑色に発色した気品ある青磁も多数見られます。
まつり
ゴールデンウイークの時期に合わせて「伊万里やきもんまつり」が開催されます。
秘窯の里 大川内山の窯元30軒による窯元市で、通常より安く焼物を購入することができるほか、2級品なども販売されます。
【お問い合わせ】0955-23-72933(伊万里鍋島焼協同組合)
【アクセス】有田市街地から車で約20分
伊万里駅前バス停から大川内山行きバスで約15分
【HP】http://www.imari-ookawachiyama.com/index.html
6月半ばから8月には、石畳の小道が風鈴の音に包まれる風情あふれる「風鈴まつり」
秋になると「鍋島藩窯秋まつり」が開催されます。
みどころ
大川山内は、山水画に出てくるような大屏風奇岩などがある秘境のような場所です。
赤レンガの煙突や石畳などタイムスリップしてしまったかのように、歴史漂う街並みをゆっくり散策出来ます。
小道の両脇にあるお店には、そろぞれの個性が光る作品がありますよ。
作品を展示販売しているカフェもあります。
波佐見焼
(長崎県波佐見町)
波佐見焼は、16世紀末に大村藩主が、豊臣秀吉の朝鮮出兵に参加し、帰国する際に連れてきた朝鮮の陶工によって始められたとされています。
「磁器は高い」という従来の常識を覆し、庶民に普及させた器は「くらわんか碗」と呼ばれ、庶民に愛されてきました。
波佐見焼は、丈夫で使いやすいくお洒落で可愛いと、普段使いの器として人気があります。各窯元で異なる個性的なデザインが魅力です。
まつり
毎年4月29日~5月5日の7日間開催される「波佐見陶器まつり」やきもの公園周辺を主会場に大型テントには約150の窯元や商社が出店。期間中 は30万人もの多くの人で賑わいます。
【お問い合わせ】0956-85-2214(波佐見焼振興会)
【アクセス】嬉野ICから約10分
JR川棚駅からバスで約15分
【HP】http://www.hasamiyaki.com/
窯元が20近くある陶郷中尾山では、春は「桜陶祭」秋は、「秋陶祭」が開催されます。
やきものの直売や窯元めぐりウォークラリーなどのイベントで賑います。
みどころ
- やきもの公園に隣接している「陶芸の館」は、波佐見町の観光交流の拠点施設になってます。地元特産品の販売や波佐見焼の展示販売、波佐見焼の歴史資料館があります。
- 「中尾山交流館」では、陶郷中尾山に関する資料や古陶磁器をはじめ、中尾山にある各窯元のオリジナル作品が並ぶ小さなギャラリーがあります。
- 福幸製陶所跡地の「西の原」は、1500坪もの広大な敷地内にカフェ・レストランや雑貨店、波佐見焼の陶器も販売しています。オシャレな観光スポットになっています。
三川内焼
(長崎県佐世保市)
佐世保東部に位置する三川内、平戸藩の御用窯として6世紀末の豊臣秀吉による朝鮮出兵に参加していた土地の支配者が、朝鮮から連れ帰った陶工に窯を焼かせたのが起こりとされています。「平戸焼」とも呼ばれます。
白磁に呉須(ごす)と呼ばれる藍色の染料で、美しく繊細な絵付けを施す技法や透かし彫りなどの細工物が特徴です。特に唐子絵は有名です。
まつり
ゴールデンウイークの頃、「三川内焼窯元はまぜん祭り」が開催されます。
直に窯元とふれあいながらのお買い物が出来ます。
【お問い合わせ】0956-30-8311 (三川内陶磁器工業協同組合)
【開催時間】9:00〜17:00
【アクセス】三川内インター下車、佐世保方面へ約10分
【HP】http://www.mikawachi-utsuwa.net/
秋には、三川内焼伝統産業会館前 特設野外会場で「みかわち陶器市」が開催されます。
みどころ
- 「三川内焼美術館(三川内焼伝統産業会館)」では、三川内焼古美術の逸品と400年の伝統を受け継ぐ現代三川内焼の秀作の数々が展示されています。絵付けや透かし彫り体験が出来ますよ(有料)
- 歴史ある「三川内皿山まち歩き」もお薦めです。
唐津焼
(佐賀県唐津市)
唐津焼は、楽焼、萩焼と並ぶ「日本三大茶陶器」のひとつで、多くの茶人たちから愛される茶陶としてその地位を確立していきました。
歴史は古く、1580年代頃、岸岳城城主波多氏の領地で焼かれたのが始まりとされています。
現代的な感覚を取り入れた作家も現れ、今では市内約70の窯元が点在しています。
唐津焼は”土もの”と呼ばれる陶器で、粗くざっくりとした土味、温かみのあるさわり心地、釉薬や文様の多彩さが唐津焼の大きな魅力です。
まつり
ゴールデンウイーク帰還中に「唐津やきもん祭り」が開催されます。
唐津市中心市街地では、新作や唐津焼の数々が展示販売されます。
【お問い合わせ】0955-74-3355 唐津やきもん祭り実行委員会(唐津観光協会内)
【アクセス】天神から車で約60分
JR博多駅から唐津駅まで約80分
【HP】唐津観光協会ホームページ
みどころ
- 唐津駅に近い中里太郎右衛門陶房には、美しい唐津焼のギャラリーや販売があります。
- 足をのばして、見借の里山にある小川のせせらぎが聞こえる自然豊かな隆太窯(りゅうたがま)もお薦めです。素敵な器とロケーションに出会えますよ。
薩摩焼
(鹿児島県日置市)
文禄・慶長の役で朝鮮出兵していた島津義弘が80人以上の朝鮮人陶工が窯を開いたのが「薩摩焼」の始まりです。
薩摩焼は、特徴に違いから「白薩摩(白もん)」、「黒薩摩(黒もん)」に大別されます。
白もんは、貴重な白陶土で丹精に成形し透明釉を掛けたもので、上流階級のために作られました。
黒もんは、鹿児島は、火山地帯特有のシラス土壌で鉄分を多く含地元の土を使うと真っ黒い焼き物が出来上がります。庶民の生活の器として親しまれてきました。
現在は、伝統を受け継ぎつつも、現代風なアレンジを加えた多くの作品が生み出されています。
まつり
毎年、11月初めに日置市東市来町美山で行われる「美山窯元祭り」
10軒以上もの窯元、木工にガラス細工など町全体で行われる陶器市です。
みどころ
「美山陶遊館」では、美山の情報発信の場としても開放されていて、窯元の作品をまとめて見る事が出来ます。様々な焼き物を制作、販売しています。
陶芸体験もできますよ。
Tel&Fax. 099-274-5778 営業時間 8:30~17:00 定休日:月曜日(祝日の時は翌平日)
小石原焼
(朝倉郡東峰村小石原)
小石原焼(こいしわらやき)は、福岡県の中南部に位置する朝倉郡東峰村にて焼かれる陶器。
山に囲まれた静かな佇まいの中で、約400年にわたり、それぞれの窯元が独自の作品を生み出しています。
現在は、50軒あまりの窯元が点在しており、昔ながらの手法を守り続ける窯元と新しい表現に挑戦する窯元が技術を磨き上げています。
素朴で温かい持味がある小石原焼の代表的な特徴は「飛びかんな」、「刷毛目」、「櫛目」といった技法です。
まつり
「民陶むら祭り」
春 、5月3・4・5日
秋、体育の日を最終日とする3日間で開催
【お問い合わせ】0946-74-2121(民陶むら祭運営委員会)
【アクセス】大分自動車道「杷木IC」より約25分
【HP】https://mintoumuramaturi.jimdo.com/
みどころ
国道211号線沿い、東峰村役場小石原庁舎のそば登り窯をイメージした建物にある「道の駅 小石原」には、小石原の45の窯元の作品を販売する「陶の里館」や特産物直売所、レストランがあります。
TEL:0946-74-2300
アクセス:杷木I.Cより25分
小鹿田焼
(日田市源栄町皿山)
小鹿田焼(おんたやき)は、大分県日田市の山あい、皿山を中心とする小鹿田地区で焼かれる陶器。
300年近く前に小石原村の陶工・柳瀬三右衛門を招い李朝系の登窯を築いたのが始まりと言われています。
陶芸技法は、1995年に国の重要無形文化財に指定され、地区全体が「小鹿田焼の里」の名称で重要文化的景観とされています。
小石原焼(福岡)の兄弟窯にあたるため、「飛び鉋」や「刷毛目」「櫛描き」の技法で小石原に共通するものが多いのが特徴です。質実で柔らか、素朴で温かみがある器です。
まつり
5月 [小鹿田焼 唐臼祭(おんたやきからうすさい)] 10月 [小鹿田焼 民陶祭(おんたやきみんとうさい)]
【お問い合わせ】0973-29-2020(小鹿田焼陶芸館)
【開催時間】9:00~16:00(時間は目安)
【アクセス】日田ICから約30分
日田バス 小鹿田線「皿山」下車 (約40分)
みどころ
窯元を見下ろす高台にある「小鹿田焼陶芸館」は、小鹿田焼の歴史・特徴・技法などわかる資料館で「小鹿田焼の里」の紹介も行っています。
電話:0973-29-2020【営業時間】9:00~17:00
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
小鹿田焼の里では、川の水を利用して陶土を砕く「唐臼」(からうす)が動かされ、
時おり唐臼が陶土を挽く音が聞こえてきます。自然豊かな山里で、「日本の音風景100選」にも選ばれていますよ。