夏にきれいな花を咲かせるムクゲやフヨウ、タチアオイは、どれも似たような花を咲かせます。
「フヨウ(芙蓉)」と「アオイ(葵)」は、名前に『葵』という同じ漢字使われるので、どっちだっけ?と混同したりしませんか。
また、「ムクゲ」と「フヨウ」は、同じ時期に咲いてる姿を見かけたりします。
ムクゲ(槿 木槿)・フヨウ(芙蓉)・タチアオイ(葵)の違いや見分け方 それぞれの特徴を書いています。
目次
ムクゲ(槿 木槿)・フヨウ(芙蓉)・タチアオイ(葵)の花の違い
「ムクゲ」も「フヨウ」も「タチアオイ」もアオイ科の植物。
花弁は5枚で、花の形がよく似ています。
- 花の大きさは、「フヨウ」が少し大きめ。
「ムクゲ」や「タチアオイ」に比べると、フヨウが一回り大きい花を咲かせています。
- 花の中を見てみると、
「フヨウ」は、ひゅんと飛び出してる雌しべに特徴があります。
フヨウの雌しべは、柱頭が上向きに曲がっています。先端が5裂。
- 花の時期は、「タチアオイ」が早い。
タチアオイは、梅雨入りごろから咲き始め、真夏から秋には花が終わって茎も枯れだします。
「フヨウ」は、夏から咲きますが、夏の終わり頃に満開になってる花姿をよく見かけます。
「ムクゲ」は、夏から秋にかけて長い間咲いています。開花はフヨウより早い時期。
ムクゲ(槿 木槿)・フヨウ(芙蓉)・タチアオイ(葵)の葉の違い
花の違いは、確かにわかりにくいけど、葉の違いは歴然です。
葉っぱを見れば違いがすぐわかります。
また、「ムクゲ」や「フヨウ」は木ですが、「タチアオイ」は草花です。
- 「フヨウの葉」は、大きくて目立ちます。
手のひらみたいに横にも広がっています。
- 「ムクゲの葉」は、形は卵形で花より小さめで色も濃い。
- 「タチアオイの葉」は、葉は、5~7裂し、鋸歯があります。
タチアオイは、草なので、木ではなく茎なのも特徴。
花よりも、葉や茎を見た方が区別がつきそうです。
ムクゲ(槿 木槿)の特徴
「ムクゲ」は、夏に5~10cmほどの花を咲かせる落葉性の花木。
公園や庭木としてよく見かけます。
花の命は短いのですが、7〜9月になると次ぎ次ぎと花を咲かせます。
品種が多く、一重咲きから、波打ったような八重咲き品種まで様々。
日本には、平安時代に渡来したと言われています。
韓国では国花になっています。
科名 / 属名:アオイ科 / フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
別名:木波知須(キハチス)
原産地: 中国、東南アジア、インド
花の色:花の色 白、赤、ピンク、紫、複色
花言葉:「信念」「新しい美」
花のようす
ムクゲは学名は、「Hibiscus syriacus」(ハイビスカス・シラカス)
ハイビスカスの花によく似ています。
名前の由来は、
漢名の「木槿」の音読み「もくきん」が変化して「むくげ」となった。
韓国の呼び方「無窮花(ムグンファ)」またはムキュウゲ」が変化して「むくげ」となったとも。
花を乾燥したものを生薬で木槿花(もくきんか)といい、胃腸炎などに効くそうです。
長い雌しべが真っ直ぐに伸びています。
雌しべの軸の途中から多数の雄しべが出ています。
つぼみのようす
大きく膨らませたつぼみ。
葉のようす
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
3本の掌状脈。
ハイビスカスよりも切れ込みが深いです。
フヨウ(芙蓉)の特徴
「フヨウ」は、8月~10月始めにかけて、ピンクや白で直径10~15cmほどの大きな花を咲かせる落葉性の花木。
庭や公園などで見かけます。九州では道端などにも自生しています。
朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって次々と開花します。
フヨウの園芸品種は多くありませんが、
朝に白い花を咲かせ、午後からピンクに変わるスイフヨウ(酔芙蓉)や草本のアメリカフヨウとの交配種もあります。
室町時代に観賞されていた記録があることから、古くから栽培されていたとのこと。
科名 / 属名:アオイ科 / フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
別名:木芙蓉(モクフヨウ)
原産地: 中国、台湾、日本(沖縄、九州、四国)
花の色:ピンク・白
花言葉:「繊細な美」「しとやかな恋人」
花のようす
フヨウは学名は、「Hibiscus mutable」(ハイビスカス・ミュータブル)
こちらもハイビスカスがついています。
”mutable”は、変化しやすい、変わりやすい、無常の、という意味。
名前の意味は、「芙蓉(フヨウ)」はハスの美称でもあり、とくに区別する際にはフヨウを「木芙蓉(モクフヨウ)」、ハスを「水芙蓉(スイフヨウ)」とするそうです。
昔から、「美しい人のたとえ」に用いられている花で、美しくしとやかな顔立ちのことを「芙蓉の顔」ともいいますよ。
雌しべが上にキュンと上がってるのが特徴。
つぼみのようす
蕾の色は、濃いピンクですね。
しっかりとしたガクに包まれています。
葉のようす
葉の直径は10~20㎝の五角形。互生する。
5~7本の掌状脈があります。
不思議な形の実をつけるプラタナス(モミジバスズカケノキ)にも似ています。
タチアオイ(葵)の特徴
「タチアオイ」は、初夏から花を咲かせる一年草または二年草、または多年草。
庭、公園、耕作地などで見かけます。
長く直立した花茎に、6~10㎝ほどの花を穂状につけます。
花は、下から上へと順々に咲いていきますよ。
一重から八重咲、花弁の多いピオニー咲きなど多くの園芸品種があります。
日本へは、薬用として中国経由で持ち込まれたのが始まりだそう。
花を日干しで乾燥させたものが、蜀葵(しょっき)と呼ばれる生薬の一種。
科名 / 属名:アオイ科 / タチアオイ属
別名:花葵(ハナアオイ)梅雨葵(ツユアオイ)唐葵(カラアオイ)ホリホック ホリーホック
原産地:アジア
花の色:赤・ピンク・オレンジ・黄・白・紫・複色
花言葉:「豊かな実り」「野望」
花のようす
タチアオイの学名は、「 Alcea rosea」(アルセア・ロセア)
ハイビスカスに似ていますが、 Alcea=タチアイ属。
アオイの名は、葉がどんどん太陽の方に向かうところから、「あうひ」(仰日)の意味だそうですよ。
平安時代は「唐葵(カラアオイ)」と呼ばれてたそうです。
また、英名でもある「ホリーホック(hollyhock)」は、ホリーホック聖地からで、12世紀頃の十字軍が 、この花をシリアから持ち帰ったことより。
花粉がたくさんついた雄しべのかたまりの先端から、雌しべが出てきます。
つぼみのようす
次ぎ次ぎに花が開いていきます。
葉のようす
葉は、心臓状の円形で縁に鋸葉があります。
昔から一般に、葵(アオイ)と呼ばれたものはこのタチアオイを指すらしいですが、
京都で毎年5月中旬に行われる「葵祭り(あおいまつり)」の「葵」は江戸徳川家の紋所として知られる、「双葉葵(ふたばあおい)」のことだそうですよ。
双葉葵は、ウマノスズクサ科の植物で、山地などに生える多年草。
ハート形のきれいな葉をしていて、3~5月ころに花径15ミリくらいの暗い赤褐色の花を咲かせます。
アオイ科の植物の記事
☟
タチアオイは名の通り、いくつもの茎をすら~と立たせます。
ムクゲは、お庭によくある植木の雰囲気。直線的な枝を上方に伸ばします。
フヨウは、大きな葉がたくさん、横にもぐっと広がって草のような木のような振舞い。