ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)は、山中の樹林内に生育する多年草。
ショウジョウバカマ(猩々袴)に似ている植物で、九州を中心に自生しています。
見過ごされてしまいそうな、小さな株の山野草ですが、春の訪れをそっと知らせてくれるような可憐な花を咲かせます。
目次
ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)の特徴や様子
3月終わりに見かけたツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)。
(長崎県雲仙市 白雲の池)。
ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)の特徴
日本固有種のシュロソウ科・ショウジョウバカマ属の多年草。
山中の林床や、やや湿潤な場所に生育しています。
開花時期は3~5月。
花茎を出し、その先に3〜5個の花をつけます。
花色は、白~淡いピンク色。
葉は根元から放射状に広がります。
名前の由来は、ツクシ(筑紫)は九州を指し、ショウジョウバカマ(猩々袴)は、中国伝説の生き物『猩々(しょうじょう)』から来ています。
学名:Heloniopsis breviscapa var. breviscapa
科・属名:シュロソウ科・ショウジョウバカマ属
別名:コチョウショウジョウバカマ(胡蝶猩々袴)
分布:本州(関東以西)、四国、九州
花期:3~5月
別名:「コチョウショウジョウバカマ(胡蝶猩々袴)」の名。
「ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)」と、花が白色の「シロバナショウジョウバカマ(白花猩々袴」)の両種がまとめられて、「コチョウショウジョウバカマ(胡蝶猩々袴)」との新たな記載もあります。
従来はシロバナショウジョウバカマ、ツクシショウジョウバカマと分けられていたが、明確な差異をもって互いに区別されるものではない。
名称に由来する混乱を避ける意味から和名として新たにコチョウショウジョウバカマの名を与える。(田中教之氏より発表)。
ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)の様子
10㎝ほどの小さな山野草。
薄っすらとしたピンクの花をつけています。
小さいながらも存在感がある美しい植物。
ヒヤシンスにも似た花。
ひと茎に5個の花が咲いていました。
後ろからみた様子。
花弁の一部がほんのり桜色に染まっています。
花弁の根元も淡紅色。(合弁花)。
雌しべの柱頭、雄しべの葯も淡紅色。
まだ蕾でしょうか。
雌しべの柱頭は綺麗な淡紅色ですが、雄しべの葯はグレー。
こちらの雄しべの葯は紫です。
花片は6枚。
花の後にできる実はさく果です。
花色は個体差があるようです。
どの花も透明感がある花色で美しいです。
白花も見かけました。
葉は線形、根本から多数出てロゼット状に平らに広がります。
紅葉している葉もみられました。
葉はやや波打ち、所々のふちに細かな波状鋸歯があります。
春の妖精のような「ツクシショウジョウバカマ(筑紫猩々袴)」。
ショウジョウバカマ(猩々袴)との違い
「ショウジョウバカマ(猩々袴)」は、北海道~九州までの、山地や高山地域、小川の近くなど、湿り気の多い場所を主な生息地としています。
シュロソウ科・ショウジョウバカマ属の多年草。
花茎の高さは、10〜30cmとツクシショウジョウバカマに比べて大型です。
花は色の変異が多く、淡紅色、淡紅紫色、濃紫色など様々で、稀に白色の花のものもあります。
葉もツクシショウジョウバカマよりも大きく質が厚めです。
広い線形でなめらか、根本から多数出てロゼット状に平らに広がります。
ショウジョウバカマの花は、花被片の基部付近に、ぷっくりした膨らみがあるのも特徴です。