「リンドウ(竜胆)」は、秋に咲く代表的な青花ですが、同属近縁種の「フデリンドウ(筆竜胆)」は、春に咲く、草丈は10センチにも満たない、小さな可愛いリンドウです。
花の閉じた状態が、筆の穂先に似ているのが名前の由来になっています。
目次
フデリンドウ(筆竜胆)の特徴や様子
フデリンドウは、春の訪れを知らせてくれる小さな山野草。
フデリンドウ(筆竜胆)の特徴
日本、朝鮮半島、中国、カラフトに分布するリンドウ科・リンドウ属の耐寒性二年草。
日当たりの良い草原や林縁、落葉樹林などの明るい林床に自生します。
草丈は5~10cm程。
葉は対生し、形は広卵形で全縁、質はやや厚め。
花期は3~5月。
茎の上部に1~10数個、漏斗状の青紫色の花を上向きにつけます。
花は日があたっている時だけ開き、曇天、雨天時は、筆先の形をしたつぼみ状態になって閉じています。
学名:Gentiana zollingeri
科・属名:リンドウ科・リンドウ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国、カラフト
別名: 筆龍膽(ひつりょうたん)
花言葉:「高貴」「真実の愛」「誠実」「正義」
フデリンドウ(筆竜胆)の様子
花冠は径2~2.5cm程度。
淡い青紫色で、基部に黒褐色の斑点があります。
花は漏斗形の合弁花、花冠は5裂。
リンドウ科の植物には、5裂した花冠の間に 副片と呼ばれる裂片があり花冠は10裂しているように見えます。
萼片は反り返らず、5裂。
雄しべは短く5本。
リンドウの花は、雌しべよりも、雄しべの方が先きに完熟する「雄性先熟」で、雄しべと雌しべの成熟期をずらして、自家受粉を避ける仕組みをもちます。
咲き始めは雄性期で、5本の雄しべが中心に集まって雌しべの先端(柱頭)を隠しています。雄しべがやや衰退したころ、雌しべの先端が2裂して受粉を受け入れる準備を整えます。
花は陽があたっている時だけ開き、曇天、雨天時は、筆先の形をしたつぼみ状態になって閉じています。
これを「花の開閉性」といい、雨水によって花粉の劣化を防ぐためと考えられています。
葉は卵形でやや厚みがあり対生します。
果実はさく果で細長い筒状。
フデリンドウは、1つの茎に数個の花をつけます。
よく似た花に、同じ時期みられる「ハルリンドウ(春竜胆)」があります。
ハルリンドウは、根生葉の間から数本の花茎が出て、青紫の花を1輪ずつ咲かせます。
ハルリンドウ(春竜胆)とフデリンドウ(筆竜胆)の違い
ハルリンドウ(春竜胆)。
春に開花するリンドウの意から名づけられています。
花期は3~5月。
日当たりの良いやや湿った山野や湿地に生育する耐寒性二年草。
花茎は基部で分岐し、数本が集まって直立~斜上します。
【ハルリンドウ(春竜胆)とフデリンドウ(筆竜胆)の簡単な見分け方】
フデリンドウは上部で数個の花にわかれますが、
ハルリンドウは基部で数個にわかれています。
ハルリンドウは、フデリンドウよりやや大きく、花色も濃い。
草丈:5~15cm。
花径:2~3cm。
茎につく葉の幅は披針形でやや狭く、根出葉が目出ちます。
学名:Gentiana thunbergii Gentiana
科・属名:リンドウ科・リンドウ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
別名:サワギキョウ(沢桔梗)
花言葉:「高貴」「真実の愛」「清潔な人」
秋に咲くリンドウ(竜胆)
リンドウ(竜胆)はリンドウ科リンドウ属の多年草。
日当たりがよい林床や草原に見られ、少し涼しくなってきた9月頃が見頃になります。
草丈:20~60cm。
茎は直立または斜上します。
葉は長さ3~8cmの卵状披針形で、3本の葉脈が目立ちます。
花期は 9~11月。
花冠は3~5cm程で、5裂した釣鐘形の花を咲かせます。
花弁は先端がとがって、三角形の形をしています。
主流は青色ですが、ピンクや赤紫、白、斑入りのものなど品種も増えてきています。
リンドウの名前は、漢名の竜胆(りゅうたん)の音読みが変化したもので、根が竜の肝のように苦いことからつけられています。
学名:Gentiana scabra
科・属名:リンドウ科・リンドウ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国
別名:ササリンドウ、エヤミグサ(疫病草、瘧草)
花言葉:「悲しんでるあなたを愛する」「正義」