ウバユリ(姥百合)の花 山や林に咲く白いユリ

山に咲く姥百合(ウバユリ)の花
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夏の山や林道脇などでよく見かける「ウバユリ(姥百合)」の花。
ウバユリは、ユリ科ウバユリ属の多年草で、葉の形が普段みかけるユリとはずいぶん違っています。
ハートみたいな形の葉で、英名では「Heartleaf lily(ハートリーフ・リリー)」とも呼ばれてます。

白ユリといえば「テッポウユリ(鉄砲百合)」や「タカサゴユリ(高砂百合)」が有名ですが、
「テッポウユリ」は、冠婚葬祭でも好まれるユリで、春〜初夏に純白の花を咲かせます。
「タカサゴユリ」は、夏〜秋に道端や荒地で咲いてる姿や、高速道路法面で群生を見かけます。

ウバユリ(姥百合)の特徴や様子

林道に咲いていたウバユリ(姥百合)の花の写真

7月、林縁でみかけたウバユリ(姥百合)。
一見、タカサゴユリかと思いましたが、葉の様子がまったくユリとは思えない感じです。

ウバユリ(姥百合)の特徴

日本原産、ユリ科ウバユリ属の多年草。
関東地方以西〜九州の藪の中や山中の木陰に自生します。

花期は7〜8月。

花茎の高さは1m以上にもなり、茎の先端に横に向いた緑白色の花が数個付きます。
葉は卵状長楕円形で、茎のやや下側に数個集まって付きます。

球根からは良質のデンプンが採取できるため、ユリ根として食用にされます。

幼苗のころは春先に根出葉だけが出て、5~6月頃には葉が消失。
何年かそれを繰り返し、地下の球根が肥大していくと、葉は消失せずに茎が伸びるようになり、そののち茎が太くなり、たくさんの花をつけるようです。
花後の秋に種子を飛ばし、その株の一生は終わります。

 

名前の由来は、花の時期に「葉が無い」ことを、また「歯が無い」を老婆に例えたこと、開花期の花のにおいを老婆の悪臭に例えたこと、などの説があります。

 

学名:Cardiocrinum cordatum
科・属名:ユリ科・ウバユリ属
別名:カバユリ、ネズミユリ
原産地:日本
花言葉:「純潔」「無垢」「威厳」

 

ウバユリ(姥百合)の花

ウバユリ(姥百合)の花の写真

ウバユリ(姥百合)の花は、ほんのり甘い優しい香りの横向きの花。

緑白色の細長い花びらで、長さ12〜17cm。
花弁はあまり大きく開かない。

ウバユリ(姥百合)の花のアップ写真

花弁は、6枚。

横から見たウバユリ(姥百合)の写真

内面に淡褐色の斑点があります。

ウバユリ(姥百合)、満開の花

半開きで満開。

ウバユリ(姥百合)の花のアップ、雄しべや雌しべの写真

雄しべ6個、長さは不揃いで葯は淡褐色。
雌しべ1個。

ウバユリ(姥百合)の若い蕾の写真

若い蕾。

ウバユリ(姥百合)の蕾の写真

蕾の様子。

ウバユリ(姥百合)の花後の写真

花後の様子。

果実は秋に稔り、晩秋に裂開して種子を散布します。
種子は扁平で膜があり、風で散布されます。

果実は長さ4~5cmの楕円状の蒴果。
種子は長さ10~13mmで扁平で広い膜があります。

ウバユリ(姥百合)の茎と葉の写真

茎は無毛、中空。
茎の中ほどに、5〜6葉が集ります。

ウバユリ(姥百合)の茎と若葉

若い葉は、縦にまいています。

ウバユリ(姥百合)の根元、葉の様子

輪生状に葉をつけます。
長い葉柄。

ウバユリ(姥百合)の葉のアップ写真

長さ15~25cmの広卵状楕円形で基部は心臓形。
網状脈があり、両面無毛。

林に咲いているウバユリ(姥百合)の花の様子

夏の九州では、車を走らせていると林道脇で咲いてるウバユリ(姥百合)を所々で見かけます。

本州中部以北〜北海道では、ウバユリ(姥百合)よりも大型の「オオウバユリ(大姥百合)」が見られるようです。
北海道ではアイヌ民族がオオウバユリの鱗茎を「トゥレプ」と呼び、穀物以上に大事にされてたそうです。

 

白いユリ テッポウユリ(鉄砲百合)

テッポウユリの花の写真

テッポウユリ(鉄砲百合)」
ユリ科ユリ属の多年草。
九州南部から沖縄にかけて分布します。

草丈70~100cmくらいで、純白で細長い花を横向きにつけます。
花被片は先がやや反り返り、長さ10~16cm。
葉は長い楕円形で、互い違いに生える互生。

全体的に整っていて、凛とした花姿が美しい、香りのよいユリです。
我が家では、5月の中旬〜6月に見頃を迎えます。

名前の由来は、花の形が筒状で鉄砲の形に似ていることから。

 

学名:Lilium longiflorum
科・属名:ユリ科・ユリ属
英名 Easter lily
別名:琉球百合(リュウキュウユリ)
原産地: 日本
花言葉:「純潔」「甘美」「威厳」

 

※ お盆の頃に見かける白百合は、「テッポウユリ」ではなく外来種の「タカサゴユリ」。

白いユリ タカサゴユリ(高砂百合)

タカサゴユリの花の写真

タカサゴユリ(高砂百合)」
ユリ科ユリ属の多年草。

台湾原産の帰化植物で、「台湾百合」の名があります。
テッポウユリによく似た筒型の花です。
葉はテッポウユリよりも小型で密についいて、「ホソバテッポウユリ」とも呼ばれます。

花の外側が赤褐色を帯びているのが特徴のようですが、純白な花もあるようです。

草丈40~180cmくらいで、花は横向きかやや下向きにつけます。
花被片は先がやや反り返り、長さ15~20cm。
葉は線形から細い針形で、互い違いに生える互生。

名前の由来は、台湾の百合であること。(琉球語に由来する台湾の別称)

 

学名:Lilium formosanum
科・属名:ユリ科・ユリ属
別名:タイワンユリ(台湾百合)、ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)
原産地: 台湾
花言葉:「純潔」「無垢」「威厳」

 

※ テッポウユリとタカサゴユリを掛けあわせて作られた品種に「シンテッポウユリ(新鉄砲百合)」があります。
テッポウユリに比べて細身。
別名で「ナツユリ(夏百合)」と呼ぶこともあります。
純白の花で、切り花などでも広く流通しています。

白い筒状花を咲かせるユリ科ユリ属の多年草。
開花時期は、夏~初秋。
学名:Lilium x formolongo

自然交雑もあり、シンテッポウユリとタカサゴユリの判別は難しいともされます。

 

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