成熟したガマの穂は、綿毛をつけた小さなタネがぎっしりと詰まっており、触るなど刺激があると一気に飛びだしてきます。
勢いよく破れるため、「爆発する」という言葉も使われます。
モクモクと現れる綿毛は想像以上に多く、種の数は一つの穂におよそ35万個といわれます。
秋になると成熟するガマの穂 綿毛や種
秋になると成熟するガマの穂。
11月の様子。
ガマの穂って何?
ガマ(蒲 香蒲 )は、ガマ科ガマ属に属する多年草で、日本全土の沼や池の水深の浅い場所や湿地、休耕田などに自生します。
大型の挺水(ていすい)植物で、草丈は1.5~2メートルになります。
葉は幅2センチほどの線形。
6~8月ごろ、水中の基部からまっすぐの花茎を伸ばして、茎の先に赤褐色の円柱状の肉穂花序をつけます。
花穂の上部に雄花群、下部に雌花群がついています。
円柱状の花穂を、ガマの穂と呼び、花の呼び名です。
ガマの穂の大きさは10cm~20cmほどになり、太さは2cm~3cm程度あります。
学名:Typha latifolia
科・属名:ガマ科・ガマ属
原産地:北半球の温暖地帯、オーストラリア
別名:ミスクサ(御簾草)
開花時期:6月~8月
ガマの穂 爆発 時期は?
ガマの穂の爆発は、茶褐色の雌花穂の種が成熟する晩秋頃にみられます。
細長い穂からは、たくさんの量の綿毛が次から次へと沸きだし、綿毛のついた軽いタネは風により、遠くまで運ばれていきます。
ガマの綿毛(穂綿)は、木綿が栽培流通するようになるまでは、萱(カヤ)などの藁とともに、寝具の詰め物としても利用されていたそうです。
布団(ふとん)は、元々蒲団と書かれ、蒲でできた円い敷物に由来しています。
晩秋のガマの穂の様子
ガマの穂は、花穂は円筒状で、茎の先につきます。
上部は雄花穂、下部は雌花穂。
花萼(かがく)・花冠(花びら)はありません。
フランクフルトのようなガマの穂。
穂と呼ばれる茶褐色の部分は、雌花の集まりで、雌花が熟すと、種をつけた穂綿が風に吹かれて飛んでいきます。
雄花穂は、花の時期が終わるとともに枯れ落ち、軸だけの状態になります。
種を飛ばし始めるガマの穂の様子。
雌花がはじけたあとでしょうか。
しぼんだ綿あめのよう。
晩秋に湿地帯には、雌花穂が破裂したものがたくさんみられました。
ガマの穂が爆発する様子
成熟したガマの穂に触れてみる。
ぎっしりと綿毛がつまっているため、刺激が加わると一気に飛びだします。
さわってみると、ガマの穂からモクモク飛び出す白い綿毛。
ガマの綿毛は、タンポポの綿毛のように、種子を風に乗せて飛ばします。
白い綿毛をつけた種の数は、35万個とされます。
タンポポの種は、セイヨウタンポポで200個ぐらいともいわれてますが・・
種は小さく、毛は長い。
透明感があって美しく、思わず見とれてしまいます。
もこもこと膨れ上がった綿毛は片手では持ち切れず、地面に置いてみました。
たくさんの綿毛があふれだし、ちょっとびっくりします。
種子の重さは、軽すぎて「計測不能」だそうです。
ガマの種子は小型で軽く、長い毛がついているので、風に飛ばされて遠くに飛んでいけます。
水に落ちても、毛で水をはじき、浮いたまま水の流れを利用して移動します。
しかも、種の数が圧倒的に多いので、様々なアクシデントをくぐり抜けて生き残ることが出来そうです。
破裂寸前のガマの穂もみかけました。
穂が内側から押し出されるようにほころび始めています。
白い綿毛が今にも飛び出しそうな様子。
地面に置いてみると、穂が破裂して内側の綿毛が出てきました。
ちょっと指でもさわってみました。
爆発すると、白くもっこり。ふわふわ。
羽毛のような触り心地です。
ガマの綿毛が穂綿として、古くから詰め物や、布団綿として利用されていたのも納得です。
また、火起こしの火口(ほくち)としても使われていたようです。
水辺でみかけたガマの穂の綿毛。