「アキノキリンソウ(秋の麒麟草)」は、黄色い花で秋を彩る山野草です。
キク科のアキノキリンソウ属の植物で、春〜初夏に開花する「キリンソウ(麒麟草)」の花に似てることから名があります。
別名は「アワダチソウ(泡立草)」で、花が泡立つように咲くとの意味があり、小さな黄色い花をたくさんつけます。
休耕田などで大繁殖している「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」も、同じ属の植物です。
目次
アキノキリンソウ(アワダチソウ) 特徴や様子
秋の林で見かけたアキノキリンソウ(秋の麒麟草)。
鮮やかで可愛らしい黄色い花。
アキノキリンソウ(秋の麒麟草)の特徴
北海道〜九州の日当たりのよい山野に生える多年草。
草丈は30cm〜80cm程度。
数本の茎がまっすぐ伸びて株立ちとなります。
葉は先端がとがる楕円形。
花期は8〜11月。
茎の先端付近に、黄色い小さな花を円錐状の穂のように咲かせます。
花後には、綿毛をつけ種子を飛ばします。
名前の由来は、花がベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)に似ていて秋に咲くことから。
キリンソウ(麒麟草)は、中国の伝説上の動物である「麒麟」が関係しているといった説や、黄色の花が集まって咲く様子を例えた「黄輪草」があります。
若葉はあく抜きをして食用利用ができます。
おひたしや和え物、油いためなど。
全草を採取して天日で乾燥させた生薬は、一枝黄花(いっしこうか)といい、健胃、喉の腫れや痛み、腎炎・膀胱炎などに効果があるとされます。
科・属名:キク科・アキノキリンソウ属
原産地:日本、朝鮮
別名:アワダチソウ(泡立草)
開花時期:8〜11月
花言葉:「安心」「強い心」
アキノキリンソウ(秋の麒麟草)の様子
茎先にたくさんの黄色い花(頭花)をつけるアキノキリンソウ。
花径1.2~1.4cm。
花の中心に筒状花があり、外側に舌状花があります。
周囲に1列に並ぶ舌状花は長さ6.5~8㎜。
舌状花には雄しべはなく、雌しべのみ。
中央の筒状花は両性花で結実します。
花弁の先は5裂。
雄しべは5本がくっついて茶色っぽい筒となり、雌しべの花柱をとりまいています。
蕾の様子。
薄緑の爪のような総苞片が重なっています。
花後の様子。
舌状花は散って、筒状花は結実へ。
アキノキリンソウの果実は、痩果で冠毛があります。
キク科のタンポポと同様、風媒花、綿毛をつけ種子を飛ばします。
果実は、長さ約2.5mm。
冠毛は、長さ約4mm。
葉は根出葉と茎葉があります。
根出葉はロゼット状ぽいですが上に向かって伸びています。
ふつう開花時には枯れていくようです。
葉身は卵形~長楕円形。
茎につく葉は互生する単葉で、茎の下部につく葉は長さ7~9cm、幅1.5~5cmの卵形~長楕円状披針形。縁に内曲する鋸歯があります。
上部の葉は小さめです。
名の由来となった「キリンソウ(麒麟草)」
名前の由来ともなった「キリンソウ(麒麟草)」は、ベンケイソウ科・キリンソウ属の多年草。
日本や朝鮮半島、中国などの海岸の岩上、山地や草原に生える多肉質の植物です。
葉は肉厚で光沢があり、ノコギリの歯のようにギザギザとしています。
花期は5月~6月。
茎の先端部に、黄色い星のような小さい花を、輪状に密集させます。
花は径12mmほどの5弁花。
背が高いだけ?「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」
「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」は、キク科 アキノキリンソウ属の多年草。
日本全国の土手や河川敷、空き地などの様々な場所で群生し、秋になると黄色い花を咲かせます。
もともとは日本には生息していない北アメリカ原産の外来種で、鮮やかな黄色の花穂が美しく、切り花用の草花として導入されたようです。
草丈は50~300cmとなり、茎の先に長さ10〜50cmの大型の円錐花序をだし、直径約6mmの黄色の頭花を密につけます。
アキノキリンソウの別名は、アワダチソウ(泡立草)。
「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」と「アワダチソウ(泡立草)」を比べてみます。
名前にあるように、セイタカアワダチソウは、アワダチソウよりも一般的に背が高く大型種。
草丈も花序も大きく、繁殖力も旺盛です。
ですが、一つ一つの小さな花はアワダチソウの方が倍近く大きいです。
また、アワダチソウの花序は、穂状ですが、セイタカアワダチソウは、円錐形の花序で、大きな傘状のようです。
セイタカアワダチソウの葉は、長さ6〜13cm。
被針形で先が尖ります。
種子と地下茎の両方で増殖することができることから、繁殖力が非常に高い。
アキノキリンソウに似ている「ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)」
「ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)」は、キク科アキノキリンソウ属の多年草。
アキノキリンソウの高山型変種とされます。別名:コガネギク(小金菊)。
日本全域に分布するアキノキリンソウに対して、ミヤマアキノキリンソウは本州中部から北海道に分布しています。
草丈は15cm~50cm程で、アキノキリンソウより少し高さが低く、花(頭花)は若干大きく、枝の先に固まってつきます。
また、海岸の草地に生える「ハマアキノキリンソウ(浜秋の麒麟草)」があります。
こちらは、アキノキリンソウの海岸性変種とされ、関東地方と伊豆半島の海岸に分布します。
草丈は10cm~30cm程。
全体に小さめで、花や葉がまとまってつきます。
葉が厚く、先は鈍形。