イジュの花は、シャラの木(ナツツバキ)にも似ている清楚な白花で、木を覆うよう咲いてる様子は圧巻です。
5月から6月にかけて見ごろを迎えることから「梅雨の花」、「梅雨の到来を告げる花」とも呼ばれています。
イジュの特徴や様子
初夏を彩るイジュ。
純白の花からは、かすかに甘い香りが漂います。
イジュの特徴
イジュ(伊集)は、日本の南西諸島から東ヒマラヤ、東南アジアまで広く分布する、ツバキ科のヒメツバキ属に属する常緑高木。
別名:ヒメツバキ。
小笠原では「ヒメツバキ」とも呼ばれますが、違いもあり別種とするか同種とするかは諸説あるようです。
イジュは葉に鋸歯があるのが普通ですが、ヒメツバキでは鋸歯はほとんど出ず、成木の葉は全縁。
硫黄列島を除く小笠原に分布するものをヒメツバキ(susp. martensiana)、東南アジア、東アジアに広く分布し、日本では奄美以南の琉球に生育するものをイジュ(subsp. noronhae)と呼びます。
引用:改訂新版日本の野生植物第4巻(2017)
花期は5~6月。
枝先に集散花序を出し、花径3~5センチのツバキに似た白い花をつけます。花弁は広卵形で浅いお椀状で、多数の黄色い雄しべが目立ちます。
葉は先が尖る長楕円形で、枝先に集まって輪生するように互生します。
名前の由来は、樹皮がサポニンを含み魚毒になるので、粉にしたものを川に流して魚(沖縄の昔の名イユ) を獲ることからきているとの説があります。
学名:Schima wallichii subsp. noronhae
科・属名:ツバキ科・ヒメツバキ属
別名:ヒメツバキ
原産地:小笠原諸島(硫黄諸島を除く)、奄美以南の琉球列島、東南アジア、東部ヒマラヤ
開花時期:5~6月
花言葉:「ひたむきな愛」「愛嬌」
イジュの様子
沖縄ではやんばるを代表する花ですが、九州の公園にも植えられているイジュ。(長崎水辺の森公園)。
花付きがよい樹木。
白い花が樹冠を覆うように咲いている姿はとても素敵です。
葉は枝頭に束生し、花は頂生。
イジュの花は、放射状になった濃緑の葉の中央に白い花がかたまって咲きます。
輪状に集まるように咲く花。
花冠の径は4~5cm。
花弁は深いさじ形で5枚。
1本の雌しべのまわりに、黄色の雄しべが多数あります。
丸い蕾からの開花。
若い蕾。
蕾はほぼ球形で実のようにも見えます。
葉は互生して枝先に集まってつきます。
長さ7~13㎝の長楕円形で先が尾状にとがります。
濃緑色で光沢があります。
やや厚くて革質。
新芽は赤色を帯びます。
枯れ始めた花は茶色へ。
果実は径1.5㎝ほどの球形で、晩秋に熟すると5つに割れます。
種子は扁平な腎形で長さ8~ 9mm、淡褐色で縁に広い翼があります。
落ちた花。
落花するときは花弁も萼片も一体となってポトリと落ちます。
幹の様子。
樹皮は褐色で縦横のひび割れが目立ちます。
イジュの材は堅くでシロアリに強く、建築材や家具材として利用されています。
シャラの木(ナツツバキ)はどんな花?
シャラの木(ナツツバキ)は、日本原産のツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。
東北地方南部以南の山地に自生しています。
開花時期は6~7月で、初夏にツバキに似た白い花を咲かせます。
花芯部の黄色が目立ち、イジュの花に雰囲気が似ています。
花径は5~7cmほどで、イジュよりも少し大きめです。
葉は長さ10cmほどの先の尖った楕円形で裏面には伏毛が生えます。
ツバキのような厚みはありません。
ツバキのように常緑ではなく、秋に紅葉し葉を落とす落葉樹です。
9月~10月頃には小さな実ができ、熟すと先が裂けて種子を落とします。
シャラの木(沙羅木)名前の由来は、沙羅双樹(しゃらそうじゅ)にちなんだ名前ですが、間違えて名づけられたとの説があります。
ナツツバキ(夏椿)の名前の由来は、夏にツバキのような花を咲かせることからつけられました。
また葉も花も小型な種類に「ヒメシャラ(姫沙羅)」があります。
シャラの木(ナツツバキ)の園芸品種には、「夜明け前」、「桃色夏椿」、「ピンク夏椿」などと呼ばれるピンク色が入る花もあります。
学名:Stewartia pseudocamellia
科・属名:ツバキ科・ナツツバキ属
別名:シャラソウジュ、サルスベリ
原産地:日本、朝鮮半島南部
開花時期:6~7月
花言葉:「はかない美しさ」「愛らしさ」