山や林で石や岩に生えてるような植物、民家の生垣に絡みついてる植物をみかけると名前を知りたくなったりしませんか。
地面に根を下ろさずに岩や石などに張り付き着生する植物は、枝から気根をだして、独自の方法で生息し、成長してるようです。
目次
石や岩などに着生している植物
岩石の表面や木など、有機物や無機物の表面などに固着して成長する植物を総称し、着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)と呼ばれています。
気根などの固着器官で固着して生活しており、シダ類、コケ類、地衣類、ラン科などで多く見られるようです。
ヒトツバ(一つ葉)
ヒトツバは、単葉の葉をもつ常緑シダ植物。
胞子で群生をつくる着生植物。
関東以西の本州〜九州に分布。
ウラボシ科・ヒトツバ属。
低地〜山地の比較的乾いた岩の上や樹木の幹に群生します。
根茎は硬い針金状で長くはい、株元から葉が立ち上がるような独特な形になります。
葉は楕円形の単葉。
厚みがある硬めの革質で、高さ30〜40cmになります。
裏面は灰褐色で星状毛が密にあります。
胞子がついてる葉は、茶褐色の胞子嚢で覆われてます。
胞子嚢から散布する胞子で繁殖します。
名前の由来は、一枚の単葉であることからついています。
学名:Pyrrosia lingua
科・属名:ウラボシ科・ヒトツバ属
ノキシノブ(軒忍)
ノキシノブは、岩壁や湿っているような木の幹などでよく見かける常緑性のシダ植物。
北海道南部以南の日本各地に分布。
ウラボシ科 ・ノキシノブ属。
岩上や樹上に着生し、人家の石垣や庭木などでも見られます。
葉の裏に丸い胞子嚢が、2列に並んでつき、これを目に見立てた、「ヤツメラン」という別名があります。
根茎は3ミリメートルほどで、樹上や岩上に着生し、横に這うようにのびていきます。
葉は先がとがった線形で、やや肉厚で革質です。
長さは10〜30cm、幅は5〜10㎜。
胞子嚢群は黄褐色の円形で、葉の上半分につき、中肋(主脈)と葉の縁の中間に1列ずつ並びます。
名前の由来は、家の軒先に生育し、土が無くても堪え忍ぶという意味。
学名:Lepisorus thunbergianus
科・属名:ウラボシ科 ・ノキシノブ属
ウラジロ(裏白)
ウラジロは、翼のように葉を広げる常緑性のシダ植物。
正月の鏡餅や松飾りなどに使われています。
本州中部以南に分布。
ウラジロ科・ウラジロ属。
丘陵地の林下や林縁に群生し、大きな葉をのばして垂れている姿を目にします。
根茎は太い針金状で黒褐色の鱗片を密に付け、横に伸ばします。
草丈は50~200cm。
葉は羽状に2回深裂。
やや光沢のある鮮緑色で、裏面は粉白色。
長さは30cm~1mほど。
名前の由来は、葉の裏が白いことから名づけられたといわれます。
学名:Diplopterygium glaucum
科・属名:ウラジロ科・ウラジロ属
ウラジロによく似た植物に、コシダ(小羊歯)があります。
ウラジロによくにた環境で見られますが、ウラジロより葉が小さく、一回羽状複葉。ウラジロより小さいためコシダと名づけられています。
マメヅタ
マメヅタは、小さな丸い葉を岩や樹木に茎をはわせる常緑シダ植物。
東北地方以南に分布。
ウラボシ科マメヅタ属。
岩や樹木、石垣などに茎をはわせ、覆うように広がる着生植物。
シダ植物には珍しい多肉性の質感をしています。
根茎は針金状で細長く、不規則に枝分かれします。
葉は2型あり、1~2cmの小さく丸い栄養葉と、5cmほどの細長いへら状の胞子葉をつけます。胞子葉の裏の胞子嚢群は、線形で中肋の両側に1列につきます。
名前の由来は、豆のように小さな丸い葉をもつ蔓状の植物。
学名:Lemmaphyllum microphyllum C.Pres
科・属名:ウラボシ科・マメヅタ属
イワヒバ(岩檜葉)
イワヒバは、葉の形状がヒバに似ている常緑シダ植物。
北海道から九州に分布。
イワヒバ科イワヒバ属。
山地の岩上や岸壁でみられるゆっくりと成長するシダ植物です。
江戸時代から園芸植物として親しまれ、盆栽などでも人気です。
根持体や根が集まってできた仮茎の先端から、多数の葉状の枝を放射状に展開します。真の葉は葉は小さく、鱗状。
乾燥すると枝全体が内側に巻き込むように丸まります。
名前の由来は、岩場に自生し、また葉がヒバに似ていることから呼ばれるようになりました。
別名に「岩松」「長寿草」「復活草」などがあります。
学名:Selaginella tamariscina
科・属名:イワヒバ科・イワヒバ属
フィカス・プミラ(オオイタビ)
オオイタビは、生垣などでもよく見られるつる性常緑樹。
房総半島以西の日本各地に分布。
クワ科イチジク属
学名から、フィカス・プミラと呼ばれることもあります。
山地に自生するつる性常緑樹で、枝から気根を出して他の木や岩、壁に張り付きます。
葉はツルから互い違いに生じ、長さ3~10cmの厚い楕円形~卵状楕円形。
表面は光沢があり、裏面は白っぽい。
果実はイチジク状果と呼ぶ集合果で、4cm〜5cm程の球形。
10〜11月に紫色に熟します。
名前の由来は、「イタビカズラ」より大きな果実ができることから名付けられてます。イタビとは同属の植物「イヌビワ(犬枇杷)」のことで、カズラとはつる性植物のことを指します。
学名は、Ficus pumila
クワ科イチジク属
山でよく見かけるのはヒメイタビ?
山や林へ行くと、岩に絡みついてるヒメイタビをよく見かけます。
ヒメイタビはオオイタビよりやや小型種です。
分布はオオイタビとほぼ同じで、茎から根を出し、樹皮や石垣などを匍匐して広がる性質もよく似ています。
葉は卵形または卵状楕円形で長さ2~6cmほど。
ツタ(蔦)
ツタは、山林や住宅地などでも普通に見られる落葉性のつる植物。
分布は北海道〜九州。
ツタ(蔦)にはブドウ科で落葉性で秋に紅葉する「ナツヅタ(夏蔦)」といわれるものと、ウコギ科で常緑の「フユヅタ(冬蔦)」といわれるものがあります。
観葉植物でよく見かける「アイビー」は、ヨーロッパや西アジアを原産とし、「セイヨウキヅタ (西洋木蔦) 」と呼ばれるウコギ科の常緑性つる植物。
ナツヅタは、巻きひげの先に円形の吸盤があって、石や木などに吸着します。
フユヅタは、キヅタ(木蔦)ともいわれ、細い不定根を茎から多数出して這い上り、旺盛に繁ります。
葉は分裂して3つに裂けるものが目立ちますが、そのかたちは多様でいろんな形状のものが混じります。
フユヅタの花をつける枝の葉は、菱状卵形~卵状披針形で分裂してません。
ナツヅタの花期は初夏(6月~7月頃)で、フユヅタは秋(10月~12月頃)。
ツタの名前の由来は、他の植物や岩に「つたって」のびることから付いてます。
ナツヅタ(夏蔦)
学名:Parthenocissus tricuspidata
科・属名:ブドウ科・ツタ属
フユヅタ(冬蔦)
学名:Hedera rhombea
科・属名:ウコギ科・キヅタ属
ツワブキ(石蕗)
岩の上など厳しい環境でもたくましく育つことから、「石蕗(つわぶき)」の名がついています。
分布は中部以西の本州、四国及び九州。
キク科ツワブキ属。
海岸の岩の上や崖などに生える多年草。
普通の地面にも岩の上でも見かけます。
岩の上は、土壌がたまれば通常の地面と同じように育つようです。
葉はフキの形によく似ており、腎心形で、厚くて光沢があります。
10~12月頃に長く伸びた花茎の先に小さなキクのような花を咲かせます。
名前の由来は、葉に艶がある「フキ」と云う意味の「艶蕗」がなまったのだそうです。
学名:Farfugium japonicum
科・属名:キク科・ツワブキ属